岐阜新聞 映画部

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Meet somewhere

スパイ組織誕生と歴史を俯瞰する娯楽映画

2022年01月05日

キングスマン:ファースト・エージェント

© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

【出演】レイフ・ファインズ、ハリス・ディキンソン
【監督】マシュー・ヴォーン

鑑賞後は世界史の復習がしたくなる!

ロンドンの中心部に位置するサヴィル・ロウは、高級テーラー が軒を連ねている通りである。"キングスマン" はそのひとつだが、その裏の顔は、諜報機関の拠点であった。

シリーズ第1作の『キングスマン』は、ベテラン諜報員ハリー・ハート(コリン・ファース)によって、訳ありの新人諜報員候補をスカウトするところからはじまる。

英国を舞台にしたスパイものと言えば、"007シリーズ" が思い浮かぶが、本シリーズの軽妙な展開は映画の色の違いを鮮明にする。しかし、洒脱さと品を備えた英国紳士のイメージは、根底では共通していると言えなくもない。

『キングスマン ファースト・エージェント』は、第一次世界大戦前夜の1914年が舞台となり、諜報組織立ち上げの経緯が描かれる。

冒頭、主人公であるオーランド・オックスフォード公爵夫妻が、幼い息子のコンラッドと共に、医療などの支援物資を届けるため、戦地に赴き、そこで遭遇することになる悲劇的なエピソードが挿入される。このトラウマとなる出来事が、オックスフォード公とコンラッドに重くのしかかる。

前2作と大きく異なるのは、歴史に名を留める、そうそうたる人物が登場し、物語が進行することである。

まず、オーストリアのフェルディナント大公が訪問先のサラエボで暗殺された所謂、サラエボ事件。爆弾による未遂とその後の射殺の経緯は、歴史的事実と合致する。

イギリス、ドイツ、ロシアの帝国の皇帝たちの不仲を、幼いころからの因縁で説明したり、ロシアの怪僧ラスプーチンがオカルト術を操ったりするのは、誇張はあるものの、暗殺の場と経緯は事実に近い。

第一次大戦の戦闘シーンも手抜きはなく、今やお馴染みとなった塹壕戦も迫力満点である。

オックスフォード公を演じたレイフ・ファインズは老体(?)に鞭打つアクションをこなし、苦悩と覚醒を見事に演じ、映画に気品を添えた。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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