岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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好きに飲み、好きに踊って自由に過ごす。若々しい大人の青春

2022年01月04日

グロリア 永遠の青春

© 2018 GLORIA FILM DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【出演】ジュリアン・ムーア、ジョン・タトゥーロ
【監督】セバスティアン・レリオ

よく出来ている映画だが、私にとっては絵空事

ここ数年、アート系洋画の広告宣伝でよく使われているのが、アメリカの映画評論サイト"Rotten Tomatoes"における満足度である。

『グロリア 永遠の青春』で言えば、満足度91%と稀にみる高評価だが、これは"TOMATOMETER"(映画批評家)のパーセンテージであり、一般観客による"AUDIENCE SCORE"のパーセンテージは46%というきわめて低い評価だ。批評家と観客の満足度が、これほど開く作品は珍しい。

傑作『ナチュラルウーマン』のセバスティアン・レリオ監督の最新作は、私には淡々としすぎて、他人ごとにしか思えないかったるい映画であった。駄作とか失敗作、何がいいたいのかわからない等と上から目線で断じる気は毛頭ない。映画はよく出来ているし退屈もせず、演出・撮影・演技どれをとっても水準以上だと思うが、私には共感するところがほとんどなかっただけだ。

仕事に恋に、いくつになってもパワフルで、若々しい大人の青春を描いているのはわかる。

ダンスホールで好きに飲み、好きに踊って自由に過ごすバツイチのグロリア(ジュリアン・ムーア)。そこで知り合った、離婚したばかりのアーノルド(ジョン・タトゥーロ)。またたく間に恋に落ち、あっという間にベットイン。

慎ましやかにおとなしく生きている初老の小市民の私にとって、こんなの絵空事にしか思えない。

グロリアは、12年前に別れた夫とも、いまだにホームパーティで再会できるし、子どもたちとも良好な関係を築いている。アーノルドに至っては、元妻や子どもたちに頼られまくり、ほとんど離れられてない。孤立無援でも孤独でもないこの2人が、何が不自由でどこが寂しいのか?

離れたりくっついたり、もうちょっと落ち着いた付き合いをすればいいのに、それが大人の青春だなんてちゃんちゃらおかしい。

とまあ、シニアとして何にも参考にならない映画であった。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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