岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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カッコよくてチョッピリ生意気な、木村拓哉を堪能する映画

2021年12月01日

マスカレード・ナイト

©2021東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会

【出演】木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、中村アン、田中みな実、石黒賢、沢村一樹、勝村政信、木村佳乃、凰稀かなめ、麻生久美子、高岡早紀、博多華丸、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎
【監督】鈴木雅之

スター映画を見るのもまた楽しいのだ

かつて日本映画の黄金時代には、スター・システムと呼ばれる制作方式があった。名前だけで客が呼べるスターを中心に、キャラを活かしたイメージ通りの役柄と、主役を食わないことを心得た大物相手役、観客の期待を裏切らない無難なストーリー、芸達者な豪華脇役陣。

今やそれも風前の灯火だが、その黄金時代を彷彿とさせるのが、この映画の座長で主役の木村拓哉さんだ。もはや吉永小百合さんと並ぶ、日本映画界の二大看板と言っても過言ではない。

ヒットが宿命づけられた木村拓哉さんであるが、『マスカレード・ナイト』においても、寸分の狂いもなく見事に"木村拓哉"を演じている。カッコよくて、ウィットに富んで、チョッピリ生意気で、しかも頭も切れる。

スターは映画の役柄に合わせる必要などない。スターが演ずるのが役柄なのだ。この映画の潜入捜査官役も、リアリティなど決して求めてない。むしろ潔いくらいの"木村拓哉役"なのである。

映画は、大みそかから新年にかけての24時間もので、豪華ホテルで行われるカウントダウンパーティーが見せ場となる。その仮面舞踏会に集まる、いわくありげで怪しそうな面々。そこで起こる殺人事件、果たして犯人は誰か?

とまあ、どこかで一度は観たことがあるような勝手知ったる筋立て。ちょっと理屈っぽい上に無理があり、ツッコミどころ満載のミステリーだが、謎解きはこの際どうでもよいのだ。

木村拓哉と長澤まさみの丁々発止のやり取りや、多彩なゲストたちの用意された見せ場を楽しめばいいし、舞台となったホテルの豪華セットを堪能すればいい。窓から見える広告看板が"明石家さんま"だという、楽屋落ちを素直に受け止め、それを風船で隠すという設定を、馬鹿にせず笑えばいい。映画の冒頭のキムタクのダンスの意味など決して考えてはならない。

普段小難しい映画ばかり見ている私であるが、スター映画を見るのもまた楽しいのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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