岐阜新聞 映画部

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シリーズものとして大切に育てられた、活動屋魂を感じる映画

2021年11月16日

科捜研の女 -劇場版-

©2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会

【出演】沢口靖子、内藤剛志、佐々木蔵之介、若村麻由美、風間トオル、渡辺いっけい、小野武彦、戸田菜穂、金田明夫、佐津川愛美
【監督】兼﨑涼介

テレビサイズの映画だが、観て損はしないし元は取れる

岩に砕け散る波しぶきにドーンと重なる三角マーク、御存じ「東映」のオープニングロゴを見るだけでアドレナリンが出てきてワクワクする。

1999年からスタートしたテレビ朝日と東映京都撮影所が制作する『科捜研の女』を観るのは初めてだが、"東映"ってだけで身びいきしたくなってくる。2002年スタートの東映東京撮影所制作『相棒』もそうだが、キャラや筋立てを確立し、シリーズものとして大切に育てていく"活動屋魂"を感じるからだ。

とはいいつつ、テレビ版は観たことがないので比較は出来ないが、20年以上にわたるシリーズの初の劇場版ということもあってか、あえて冒険はせず、劇場公開後のDVD化や配信を見据えてのテレビサイズの映画になっていることは否めない。

まずは登場人物の無意味な多さ。

初めて観る私の様な人にわかりやすいように、それぞれ役名と役職名がテロップで示されるが、あまりにも数が多くて覚えきれない。ていうか半分以上の人は今回の物語には不必要で、「撮影1日だけの顔見世出演」としか見えないのだ。

そして段取り芝居と説明セリフの多用。

オープニングで、老紳士(伊東四朗)がマリコ(沢口靖子)の背中に都合よく付いた紅葉の葉をきっかけに、わざとらしく声をかけると、マリコがこちらを振り向くという段取り芝居。見ればわかるのに、わざわざ状況を説明してくれたり、日常では絶対使わないようなセリフでのやりとりも多い。

沢口靖子のセリフの言い回しも、感情のこもってない棒読み調になっていて、起伏がみられず緊迫感がない。

撮影は陰影が乏しく、人物はバストショット以上のアップが中心で、画面が全体に騒々しい。

と文句ばかりあげたが、京都の風景は美しく、話は面白いし沢口靖子も若々しい。

手慣れた写真で、昔の2本立ての映画で言えば、メイン作でなく併映の方だと思えばいい。観て損はしないし元は取れるのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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