岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

ファッショニスタなら見逃せないシーン満載

2018年02月03日

ノクターナル・アニマルズ

©Universal Pictures

【出演】エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン、アイラ・フィッシャー ほか
【監督・脚本】トム・フォード

ラストシーン、あなたはどう解釈する?

 クラシカルでユニセックスなアイウェアや、007シリーズのボンドスーツなどで世界を代表するラグジュアリーブランドになったトム・フォード。彼の監督2作目『ノクターナル・アニマルズ』は、スーザン(エイミー・アダムス)のL.A.でのセレブな現在、NYでの元夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)との過去、その彼が書くテキサスでの小説での話の三重構造だが、緻密な構成で破綻がない。また、細部にまで行き届いたアートや妖艶な裸女、洗練されたファッションで楽しませてくれる。
 不眠症と現在の夫の不倫に悩まされているスーザンの元に、20年前に別れた夫から「夜の獣たち」という一片の小説が送られてきて感想を求められる。あるファミリーが襲われて離れ離れにされた上、殺されてしまうというストーリー。1ページ1ページ恐る恐る読み進めるうちに、現在と過去とフィクションの世界がシンクロしていき、区別がつかなくなってくる。小説部はスーザンの主観で語られ、内容が過去の自分たちの事だと捉えた彼女は、エドワードからの復讐だと感じ始める。
 しかし本当に復讐なのか?彼女の後ろめたさからそう読み取ってしまったのではないか?ラストシーン、スーザンとエドワードがとった行動からは、さらにさまざまな解釈が生まれてくる。
 ストーリーの面白さに加え、やはりファッションも重要な見所である。今回トム・フォードの意向により彼のブランドは一切使っていない中で、アリアンヌ・フィリップスによるファッションは、物語をより豊かなものにしている。スーザンが纏うのは、胸が大きく開きボディにフィットした黒のロングドレス。紅いルージュに濃い目のメークは、白が基調のギャラリーによく映える。一転自宅では、ノーメークに白のゆったりしたニットで寛いでいる。ファッショニスタも見逃せないシーン満載。監督の演出は巧みで、ゴージャスな映像を含め、贅沢な映画となっている。

『ノクターナル・アニマルズ』は岐阜CINEX、大垣コロナシネマワールドで2/3(土)より公開予定。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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