岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

どん底軍団の起死回生逆転劇

2021年09月17日

明日に向かって笑え!

©2019 CAPITAL INTELECTUAL S.A./KENYA FILMS/MOD Pictures S.L.

【出演】リカルド・ダリン、ルイス・ブランドーニ、チノ・ダリン、ベロニカ・ジナス ほか
【監督・脚本】セバスティアン・ボレンステイン

散りばめられた映画ネタにニンマリする

2001年のアルゼンチン、ブエノスアイレス近郊のとある田舎町が舞台。

寂れたガソリンスタンドを営む元はサッカー選手だったフェルミン(リカルド・ダリン)は、放置されて使われなくなった農業施設を復活するべく、組合の立ち上げを計画する。それに賛同したのはワケアリの面子が並ぶ。揃って人生のピークは過ぎてしまっているが、みんな人が良い。それにも増して、変な勇気を貰うのは、超がつくほどの楽天主義者であること。何となく、前途は明るいような気がしてくる。

集まった資金は目標まであと少し、希望に胸を膨らませて、集めた金は銀行に預けた。

ところが、その翌日、事態は一変、金融危機によって、預金は凍結となってしまう。そして、人の不幸に便乗した銀行と悪徳弁護士の罠にはまり、資金は騙し取られてしまう。

どん底に突き落とされたフェルミンたち…あてにならない政府や、小狡いエリートたちに、ただ指を咥えているだけでは馬鹿らしい!奮い立つ黄昏庶民軍団。

アルゼンチンの金融危機の根っ子は、1990年代にはじまった。それはハイパーインフレと呼ばれるもので、アルゼンチン政府は固定相場制を引いて、自由解放経済政策を推進した。経済のことにはひどく疎いので、こういう専門用語は念仏にしか聞こえないが、兎に角、長く続いたインフレ状態から脱し、高い経済成長に転じたのである。ところが、その矢先の1999年の初め、隣国プラジルで発生した金融危機は、南米の近隣国にも暗雲となって襲いかかることになる。アルゼンチンは次第に不況に追い込まれ、2001年の後半、政府は対外債務の支払い停止(=デフォルト)と、自由変動相場制への移行を断行した。しかし、これは外貨不足をまねくことになり、公的債務の支払い停止を宣言することになる。

正しく2001年のこのアルゼンチンの金融危機はリアルに起きたことなのである。

フェルミンたちのリベンジ作戦は、荒っぽくて突っ込みたくなる要素いっぱいだし、敵役の悪徳弁護士にもイマイチ感があるが、応援したくなるであろう気持ちを優先して、楽しむことをお勧めしたい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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