岐阜新聞 映画部

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浪費家で女たらしの男に惚れてしまった、女性解放活動家の話

2021年09月13日

ミス・マルクス

©2020 Vivo film/Tarantula

【出演】ロモーラ・ガライ、パトリック・ケネディ、ジョン・ゴードン・シンクレア、フェリシティ・モンタギュー、フィリップ・グレーニング
【監督・脚本】スザンナ・ニッキャレッリ

問題だらけで、弱みがあっても、行動次第で世の中は変えられる

コロナ禍の日本でマルクスの『資本論』が見直されている。2019年に30年ぶりに全面改訂された新版『資本論』(新日本出版社)を皮切りに、昨年発売の白井聡著『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)や、斎藤幸平著『人新世の「資本論」』(集英社新書)がベストセラーとなっている。

新型コロナ感染症の蔓延は、先進国の中でも最低の賃金で働かされていた非正規雇用の女性が真っ先に仕事を失う一方で、実体経済とかけ離れた政策的な株高による富裕層への富の集中で、格差はますます広がってきた。

本作は、かの有名なカール・マルクスの末娘、エリノア・マルクスの半生を描いた映画だ。スザンナ・ニッキャレッリ監督は、当時のニュースフィルムを巧みに織り交ぜながら、エリノアの言葉を紡ぎだしていく。彼女がスクリーンに対して正面を向いて堂々と語る姿は、立派な革命家である。惚れ惚れする演説だ。

正直彼女のことは全く知らなかった。偉大な哲学者で経済学者で革命家の父を持ったエリノア(ロモーラ・ガライ)は、父のことが誇らしいと同時にその影に苦しめられていたに違いない。

本作を観ていると、彼女自身も優れた女性解放活動家であり、優秀なアジテーターであったことがよくわかる。その一方で、同じ社会主義者で劇作家のエドワード(パトリック・ケネディ)にはぞっこん惚れてしまって、冷静さは全然ない。彼が浪費家で女たらしであることがわかっていても、離れることが出来ない。

しかし私は、父カール・マルクスの隠し子の件といい、エリノアの男を見る目の無さといい、高邁な主義主張で大衆を導く人物も、人間としての揺るぎや弱さがあるところまでキチンと描いているところがとてもいいと思う。

清廉潔白な人物だけが社会を変えていくわけではない。問題だらけで、弱みがあっても、行動次第で世の中は変えられるとのメッセージなのだ。

勇気がもらえる映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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