岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

モード界の女帝に迫るドキュメンタリー

2021年09月07日

ココ・シャネル 時代と闘った女

© Slow Production ARTE France

【出演】ココ・シャネル、フランソワーズ・サガン ほか
【監督・脚本】ジャン・ロリターノ

屋台骨を支えたのはかたちなき「No.5」だった

ココ・シャネルは1883年8月、フランス・ロワール県に生まれた。父は衣類の行商人、母は洗濯婦という家で裕福ではなかった。12歳の時、母は病死し、定住者ではなかった父は、年長の息子2人を農業労働者として送り出し、3人の娘(ココは二女)は聖母マリア聖心会が運営する孤児院に預けられた。そこは捨てられた孤児や貧しくて排除された者たちを救うという目的で設立された施設だった。厳格で質素な生活に縛られたが、ここで学んだ裁縫技術が、その後の仕事の道標になったと想像できる。洗礼名はガブリエル・シャネル。本人はミドルネームのボヌールを名乗っているが、記録に残る出生届ではボヌールの記述はない。シャネルの生涯はいくつかの脚色のもと、様々な魅力的な物語が付け加えられ、事実はねじ曲げられているという。

6年間の孤児院生活の後、仕立て屋で職を見つけたが、副業として兵士の溜り場だったキャバレーで歌を歌っていた。ムーランのカフェにも進出するが、そこでは給料はなく、テーブルを回って客から貰うチップが収入源だった。"ココ" という名前は、この頃得たニックネームであると言う。

『ココ・シャネル 時代と闘った女』は、現在も世界中でその名を轟かせるブランド=モード帝国を築いた女性、ココ・シャネルの謎大多き生涯とその素顔に迫るドキュメンタリーである。

場末の舞台で満足することのなかったシャネルは、いくつかのオーディションに挑戦しているが、その容姿は及第点とされたものの、歌声の評価は低く、望み通りの仕事を得ることはなかった。

いくつかの出会いを重ねて、社交界や裕福な婦人たちの生活に接する機会を得ると、裁縫技術で育まれた才能が発芽する。つば広の帽子のデザインを皮切りに、ファッション界に進出。はじめてのブティックを開店するのは1913年のことだった。

シャネルは女性初の実業家として君臨する。その周辺には、ピカソ、、コクトーといったアーティスト。チャーチルやウィンザー公といった政治家や王侯貴族の姿がある。その交流はモード帝国の礎となった。

映画は第二次大戦下の沈黙と復活にスポットを当てるが、脇役が凄すぎて主人公の実像はより謎めく。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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