岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

卓越したファッションセンスを持つ稀代の起業家、ココ・シャネル

2021年09月07日

ココ・シャネル 時代と闘った女

© Slow Production ARTE France

【出演】ココ・シャネル、フランソワーズ・サガン ほか
【監督・脚本】ジャン・ロリターノ

ブランドの歴史を知れば、よりその魅力に迫ることが出来る

ルイ・ヴィトンやエルメスなどと共に、世界のラグジュアリーブランドのトップクラスに君臨する”シャネル”。ブランドコンセプトは「女性の服の解放」と「古い価値観にとらわれない自由で自立した女性像」である。

特徴は、レディースのみ(厳密に言うとメンズはあるが、あくまで「女性からの贈り物」という想定)であることと、黒の表現への特別なこだわりだ。

キルトのように格子状になったチェーンバッグ”マトラッセ”や、香水の”シャネル№5”など長く愛される製品も多いが、ブランドの歴史を知れば、よりその魅力に迫ることが出来ると言えよう。

本作は、シャネルの創業者ココ・シャネルの生涯を、55分で一気呵成に見せてくれる中身の詰まった良質のドキュメンタリーである。

この映画からわかるのは、ココ・シャネルの、モードの最先端を行く卓越したファッションセンスと、世界的な企業へと発展させた稀代の起業家としての側面である。そして鉄の意志としたたかさ、華やかさと残酷さ、虚飾の部分や謎多き生き様も、容赦なくあぶり出していく。

救済院で生まれたシャネルは、持ち前の強い性格と美貌で社交界にデビューすると、若い貴族青年の愛人となり、その援助で帽子屋をオープンさせる。それがブランドの出発点だ。

彼女は、ファッションを女性の解放へと結びつける。コルセットを廃止し、タブーだった黒を取り入れ、帽子からは羽飾りを無くす。豪奢な衣裳からシンプルなファッションへと時代を先取りする。

実業家としては、各界の有名人と親交を深めシャネルを取り入れてもらったり、若いパトロンには惜しみなく援助し、将来に繋げる。

第二次大戦中、ナチスのスパイとしての疑いが濃厚で、反ユダヤ主義者としての一面も垣間見えるが、大きな汚点とはなっていないところがしたたかだ。

波乱万丈の人生も、終わりよければすべてよし。やっぱりココ・シャナルは偉大なのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (10)
  • 検討する (0)

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

ページトップへ戻る