岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品スーパーノヴァ B! 熟年同性カップルのある選択を描いた佳作 2021年08月26日 スーパーノヴァ ©2020 British Broadcasting Corporation, The British Film Institute, Supernova Film Ltd. 【出演】コリン・ファース、スタンリー・トゥッチ 【監督・脚本】ハリー・マックイーン 超新星=スーパーノヴァの如く一瞬でも輝くふたりでありたい ピアニストのサム(コリン・ファース)と作家のタスカー(スタンリー・トゥッチ)は、20年来のパートナーとして、幸せな日々を過ごしていた。 その日、小さな旅をするため、ふたりはその準備に忙しい。キャピンクカーに荷物と愛犬を乗せて出発する。サムがタスカーを気遣う様は、少し過剰に見えるし、タスカーにもぎこちない素振りがある。ふたりの間に立ち込める微かな不安の暗雲。 その不安は現実のものとなる。パーキングエリアでのショッピングから戻ったサムは、タスカーと愛犬がいなくなっていることに狼狽を隠せない。程なく、無事に犬を連れたタスカーを発見するのだが、そこに忍び寄る病の恐怖が見える。 タスカーの病は、ふたりが紡いだ美しい思い出の数々と、添い遂げるという未来の希望を共に奪い去るものだった。それでもサムはその現実を受け入れる覚悟をしていた。 サムを演じるコリン・ファースは1983年、「アナザー・カントリー」で初舞台を踏み。その翌年、同作の映画版(マレク・カニエフスカ監督/日本公開85年)でスクリーンデビューした。ビジュアル先行のイメージからキャリアを踏み、2010年『英国王のスピーチ』(トム・フーパー監督/日本公開2011年)では、アカデミー主演男優賞に輝いた。ドラマ、アクション、ミュージカルと幅広い活躍をしている。 タスカー役のスタンリー・トゥッチもブロードウェイからキャリアをスタートさせ、ファースと同様、幅広いジャンルの映画で、名脇役の位置を獲得している。 ふたりは実生活でも20年来の友人関係にあり、本作へのオファーを受けたスタンリーが、コリンとの共演を熱望し、独断で脚本を手渡し実現したという経緯がある。そのふたりは圧倒的な存在感で同性カップルを演じている。 旅の目的地は、ふたりが何度も訪れた美しい湖水地方にある姉が暮らすサムの実家だった。 周辺の肉親や友人たちの接し方を含め、自然体の距離感のふれあいが美しい。哀しみに包まれた物語であっても、現実から目を背けることのない前向きな姿勢が心を打つ佳作である。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (8)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月20日 / クレオの夏休み 6歳の少女のひと夏の冒険成長譚 2024年09月20日 / ボレロ 永遠の旋律 名曲 "ボレロ" の誕生を目と耳で体感する 2024年09月20日 / ボレロ 永遠の旋律 この名曲が作られた経緯を紐解く、愛と哀しみと苦しみのボレロ more 2019年07月17日 / 千石劇場(長野県) 長野県最古の鉄筋建築物として重厚な姿を残す映画館 2021年06月09日 / 【思い出の映画館】かもめ座(神奈川県) 戦後の港町横浜で湾岸労働者たちに愛された二番館 2020年07月01日 / 新世界国際劇場(大阪府) 様々な人間模様が繰り広げられる新世界の映画館 more
超新星=スーパーノヴァの如く一瞬でも輝くふたりでありたい
ピアニストのサム(コリン・ファース)と作家のタスカー(スタンリー・トゥッチ)は、20年来のパートナーとして、幸せな日々を過ごしていた。
その日、小さな旅をするため、ふたりはその準備に忙しい。キャピンクカーに荷物と愛犬を乗せて出発する。サムがタスカーを気遣う様は、少し過剰に見えるし、タスカーにもぎこちない素振りがある。ふたりの間に立ち込める微かな不安の暗雲。
その不安は現実のものとなる。パーキングエリアでのショッピングから戻ったサムは、タスカーと愛犬がいなくなっていることに狼狽を隠せない。程なく、無事に犬を連れたタスカーを発見するのだが、そこに忍び寄る病の恐怖が見える。
タスカーの病は、ふたりが紡いだ美しい思い出の数々と、添い遂げるという未来の希望を共に奪い去るものだった。それでもサムはその現実を受け入れる覚悟をしていた。
サムを演じるコリン・ファースは1983年、「アナザー・カントリー」で初舞台を踏み。その翌年、同作の映画版(マレク・カニエフスカ監督/日本公開85年)でスクリーンデビューした。ビジュアル先行のイメージからキャリアを踏み、2010年『英国王のスピーチ』(トム・フーパー監督/日本公開2011年)では、アカデミー主演男優賞に輝いた。ドラマ、アクション、ミュージカルと幅広い活躍をしている。
タスカー役のスタンリー・トゥッチもブロードウェイからキャリアをスタートさせ、ファースと同様、幅広いジャンルの映画で、名脇役の位置を獲得している。
ふたりは実生活でも20年来の友人関係にあり、本作へのオファーを受けたスタンリーが、コリンとの共演を熱望し、独断で脚本を手渡し実現したという経緯がある。そのふたりは圧倒的な存在感で同性カップルを演じている。
旅の目的地は、ふたりが何度も訪れた美しい湖水地方にある姉が暮らすサムの実家だった。
周辺の肉親や友人たちの接し方を含め、自然体の距離感のふれあいが美しい。哀しみに包まれた物語であっても、現実から目を背けることのない前向きな姿勢が心を打つ佳作である。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。