岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

シアターだからこそ実現できた夢の競演、魂の音楽フェスティバル

2021年08月03日

ジャニス・ジョプリン

©Jason Niedle

【出演】ジャニス・ジョプリン役:メアリー・ブリジット・デイヴィス、オデッタ/ベッシー・スミス/ザ・シャンテルズ役:オーリアナ・アンジェリーク、アレサ・フランクリン/ニーナ・シモン/ブルース・ウーマン/ザ・シャンテルズ役:アシュリー・テイマー・デイヴィス、エタ・ジェイムス/ザ・シャンテルズ役:タウニー・ドリー、ブルース・シンガー/ザ・シャンテルズ役:ジェニファー・リー・ウォーレン
【脚本・演出(舞台版)】ランディ・ジョンソン

ジャニスとアレサの圧倒的なセッションは鳥肌モノだ

ロックの女王と言われたジャニス・ジョプリン(1943-1970)は、当時ヒッピー&サイケの象徴であったが、私はまだ小学生。高校生になった頃、ませた先輩から無理矢理聞かされた覚えしかない。映画マニアになってからも、『ウッドストック』(1970)の出演や、『ローズ』(1979)のモデルとして認識した程度だ。

そういう訳で、事前にネットで略歴を調べYouTubeで曲を聴いてから観たが、おかげで曲名やゲスト歌手の名前がほぼ示されないというビギナーには甚だ不親切な進行なれど、とても面白くノリノリで観ることができた。

まずこれはミュージカルではなく、ざっくり言えばコンサートか音楽フェスティバルである。

舞台上には演奏者やコーラス隊が常駐し、セットは階上通路と階段があるだけ。実物よりチョット小太りだが声量はほぼ同等のジャニス(メアリー・ブリジット・デイビス)がMCを勤め、自分の半生を語りつつ影響を受けたシンガーを紹介していく。

登場するのは、レコードが擦り切れるほど聴いたブルースの女王ベッシー・スミス(1894-1937)、アメリカンフォークの女王オデッタ(1930-2008)、差別に対して声を上げたジャスシンガー、ニーナ・シモン(1933-2003)、ドラッグ禍を克服したブルースシンガー、エタ・ジェイムズ(1938-2012)、そしてソウルの女王アレサ・フランクリン(1942-2018)。全員黒人の女性シンガーだ。

ジャニスやそれぞれのシンガー役が単独で歌うパフォーマンスにも圧倒されるが、ジャニスとのセッションが一様に凄すぎる。

ガーシュウィンの「サマータイム」の歌い比べも素晴らしいが、何と言ってもジャニスとアレサのシャウトを伴った圧倒的なセッションだ。魂と魂のぶつかり合いには鳥肌が立ってくる。

この夢の競演が見られたことだけでも3,000円の価値があったのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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