岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

アレサの凄まじい歌唱力と、トランス状態の観客。圧倒的臨場感だ

2021年07月14日

アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン

2018©Amazing Grace Movie LLC

【出演】アレサ・フランクリン、ジェームズ・クリーブランド、コーネル・デュプリー、チャック・レイニー、ケニー・ルーパー、パンチョ・モラレス、バーナード・パーディー、アレキサンダー・ハミルトン ほか
【撮影】シドニー・ポラック

爆発的歌唱力と存在感、そのオーラは神さま級だ

私は映画に関してはマニアを自称しているが、洋楽は聞きかじる程度である。仕入れは洋画からが多いが、なかでもミュージカル・コメディの傑作『ブルース・ブラザース』(1980)の凄まじいエネルギーと圧倒的パフォーマンスは、若い私を大興奮させたものだ。

その魅惑的なナンバーの中でも、バンドに引きずり込まれるマットの妻で、ダイナーの女主人役のアレサ・フランクリンが歌う「シンク(Think)」のド迫力は圧巻であった。

アレサのことはゴスペルにはまった元同僚から聞いていたし、ソウルの女王だと知ってはいたが、1972年1月にロサンゼルスの教会で開催された伝説的なライブ(というか礼拝に近い)のコンサート・フィルムを見たら、「ローリング・ストーンズ誌が選ぶ最も偉大な100人のシンガー」の第1位となるのも至極当然の爆発的歌唱力と圧倒的存在感で、そのオーラは神さま級であった。

お父さんは有名な牧師で、小さい時からゴスペルの中で育ち歌ってきたアレサ。その後イージーリスニングのジャズシンガーとしてコロムビア・レコードからプロデビューするも泣かず飛ばす。

くすぶっていった彼女の才能を引き出したのは、アトランティック・レコードのプロデューサー:ジェリー・ウェクスラーだ。1966年に移籍後、彼と二人三脚でソウルシンガーとして売り出すと、ゴスペル色の強い歌いまわしと凄まじい歌唱力で一躍トップスターに躍り出る。

いつかゴスペルの、それもアフリカンアメリカンをルーツとする、彼らが持っていたリズムや音階を取り入れたブラックゴスペルのアルバムを作るという夢を果たしたのが、本ライブだ。

スタジオ録音でなくライブ録音にこだわったのは見ていればわかってくる。観客がみんなリズムに合わせて手や足を打ち鳴らし、一緒に歌いながら一種のトランス状態になっていく。この臨場感があってこそのゴスペルなのだ。

圧倒されました。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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