岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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新的時代劇の完結とそのはじまり

2021年07月12日

るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning

©和月伸宏/集英社 ©2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

【The Final 出演】佐藤健、武井咲、新田真剣佑、青木崇高、蒼井優、伊勢谷友介、土屋太鳳/三浦涼介、音尾琢真、鶴見辰吾、中原丈雄/北村一輝、有村架純、江口洋介
【The Beginning 出演】佐藤健、有村架純、高橋一生、村上虹郎、安藤政信、北村一輝、江口洋介
【監督・脚本】大友啓史

人斬りで繋がる大友監督と佐藤健

『るろうに剣心』の第1作は2012年8月に公開された。原作は和月伸宏の漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚」で、物語はこの原作の"ニセ抜刀斎騒動"、"黒笠編"、"観柳邸突入"までのストーリーを基にしている。

幕末の動乱期の京都で"人斬り抜刀斎"としてその名を轟かせた、凄腕の暗殺者・緋村剣心を主人公にしている。かつては神速の剣技で、幕府の要人や佐幕派の武士を暗殺した剣心だったが、維新後は行方知らずとなっていた。物語は流浪の旅から東京に流れ着いた明治11年に始まる。

『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』は、4作、5作目で10年に及ぶシリーズは完結となる。

このシリーズの見どころは、人斬り抜刀斎と怖れられた緋村剣心が、難敵と立ち向う殺陣にある。所謂、時代劇のチャンバラ殺陣とは次元の異なる、スピーディーなアクションは見せ方の革新に溢れ圧倒される。

剣心のキャラクター造形も面白い。剣心の言葉使いは、語尾に「〜ござる」をつけて、飄々としたイメージを醸し出すが、いざ、敵との対峙では豹変する。凄味のなかにも、人斬りを捨てたという、ニヒリズムのような虚無感が、重層的に見えることが、剣心の魅力を引き立てている。

『〜The Final』では、穏やかな日々を送っていた東京が、悪夢のような修羅場と化す、復讐劇の顛末が描かれる。

『〜The Beginning』は、剣心の人斬り時代と、復讐劇のはじまりがあきらかになる輪廻のような構成がとられている。

佐藤健は色気と凄味を自在に操り、剣心像を魅力たっぷりに作り上げた。

監督はシリーズ全作を大友啓史がつとめた。NHKからの独立後、初の監督作品だったこのシリーズを高いレベルを維持して完結させた手腕は見事だ。

大友のNHKでの仕事「龍馬伝」で、佐藤健は土佐藩士・岡田以蔵を演じている。以蔵は幕府の要人暗殺を実行し"人斬り以蔵"と呼ばれた。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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