岐阜新聞 映画部

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原発は推進か廃止か?選択を迫られたとき、あなたはどうする?

2021年07月08日

国民の選択

Ⓒ2021映画「国民の選択」製作委員会

【出演】水石亜飛夢、妹尾青洸、松永有紗、みょんふぁ、藤原啓児、泉はる、白石康介、犬飼直紀、南圭介
【監督・脚本】宮本正樹

なし崩し的に推し進めるのだけは、NOだ!

現在日本には59基の原発があり、2021年7月2日時点では8基が稼働している。2011年の東日本大震災による福島第一原発事故後、2013年9月~2015年8月には原発稼働率0を達成しているが、その後は徐々に再稼働している。

2020年度の原子力文化財団の世論調査では、原発の「増加」2.2%、「維持」8.0%に対し、「徐々に廃止」48.0%、「即時廃止」8.4%と、廃止が大きく上回っている。

『国民の選択』は、原発事故から10年がたち、国民の原発に対する恐怖感が徐々に薄れてきた風潮に付け込んで、原発推進政策をなし崩し的に推し進めようとする政府・経済界に対し、NOを突きつける映画である。

今まででも、原発事故を淫靡しようとする勢力とスクープを狙う新聞記者とが闘う『原子力戦争』(1978)や、財政再建の切札として東京都庁の隣りに原発を誘致すると言い出した都知事と幹部のやりとりを描いたブラックコメディ『東京原発』(2004)、原発が爆発し逃げ惑う群衆を描いた黒澤明の『夢(赤富士)』(1990)など、事故を予見したような傑作があった。

本作は、原子力が莫大なエネルギーを生んで発電する仕組みや、発生する放射能が人体に与える影響、火力発電に使用する石油や石炭の埋蔵量や地球温暖化に与える影響、太陽光・風力・地熱発電の利点と問題点などを俳優に語らせていく。

ただ残念ながら過去の傑作群に比べて、劇映画としての面白さには甚だ欠けており、反原子力とエネルギーの啓蒙映画に見えてしまう。なかでも地球温暖化論のくだりで、それを原子力推進のための陰謀論だと断定的に語るのは、むしろ反原発論を矮小化しかねない。

推進派の元町議のお父さんが、家族での議論の末、原発推進に反対票を投じるという納め方はどうかと思う。しがらみがあるだろうに。

映画の内容には共感するが、いささか残念な映画だった。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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