岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

岐阜西濃を舞台にした故郷創生映画

2021年06月17日

ブルーヘブンを君に

©2020「ブルーヘブンを君に」製作委員会

【出演】由紀さおり、小林豊、柳ゆり菜、本田剛文、大和田獏、寺脇康文
【監督・脚本・原作】秦建日子

不可能を可能にする夢への挑戦は青い薔薇から空へ

先日、テレビの情報番組で、コロナ禍で不況に立たされた花農家の特集を見かけた。紹介されていたのが薔薇農園で、そこで一際目を引いたのが青い薔薇だった。その青い薔薇は、青い溶液を吸わせることで人工的に着色されたものだった。

『ブルーヘブンを君に』の主人公・鷺坂冬子(由紀さおり)は、誰にも作れないと言われた、世界初の青い薔薇を人工着色ではない、品種改良によって生み出した、実在の薔薇育種家の女性をモデルにしている。

63歳の冬子は、朝の散歩を日課に1日が動き出す。ある朝、出発してまもなく腹部の痛みに襲われる。それはがんの再発を意味する。医師の診断は第4ステージで余命宣告まで受けるが、冬子は延命のための治療を拒否することを決め、家族にもその事実をかくすことになる。

もうひとつ冬子が決めたのは、やり残したことを見つけてそれに挑戦することだった。

冬子を演じる由紀さおりは、映画初主演となるが、1983年に公開された『家族ゲーム』(森田芳光・監督)の母親役が印象深い。独特の個性と自然体の演技は実に達者なもので、本業である歌手の余暇とは思えないものがあり、本作でもその力量は発揮されている。

映画は"地方創生ムービー"として製作され、岐阜県西濃地区でのロケが行われた。青い薔薇生みの親の河本純子さんの経営する「河本バラ園」は大野町。ハンググライダーの練習場や発進基地があるのは池田町。他にも、大垣市や羽島市が登場する。冬子が初恋の相手とのデートで食事をするのは、柳ヶ瀬の鰻屋である。
冬子の夢、青い空をひとりで飛ぶことを実現するため、孫の蒼太(小林豊)、正樹(本田剛文)、ふたりの訳ありの女友だち夏芽(柳ゆり菜)を巻き込んでの悪戦苦闘が始まる。

展開の粗さや甘さには深入り禁物で、冬子の心意気は素直に応援したくなる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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