岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

現代のノマドを描くポエムのような傑作

2021年06月08日

ノマドランド

© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.

【出演】フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ、スワンキー、ボブ・ウェルズ
【監督・脚色・編集】クロエ・ジャオ

美しい映像と音楽が奏でるハーモニー

今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞の主要3部門を受賞した「ノマドランド」は、季節労働の現場をキャンピングカーで渡り歩くノマド(遊牧民)と呼ばれる車上生活者を描いた作品。

リーマンショックの影響で、町から大企業が撤退し職を失った社会的な背景も描かれているが、社会派の告発映画ではない。むしろ、清貧の中で自尊心を失わず、自然の美しさと人情に触れながら旅するノマドの姿を気高く活写することで、主人公の第二の人生を祝福しているかのようだ。

クロエ・ジャオ監督の演出は、「四季・ユートピアノ」や「川の流れはバイオリンの音」などのテレビドラマで知られる佐々木昭一郎のスケッチのような自然なタッチに近い。そして佐々木昭一郎作品同様、美しい映像と音楽が素晴らしいハーモニーを奏でる映像詩だ。

本物のノマドたちに溶け込んだ、フランシス・マクド―マンドの自然体の演技も素晴らしい。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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