岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ブックセラーズ B! 本を売るだけではなく本を愛する人たちの話 2021年06月02日 ブックセラーズ © Copyright 2019 Blackletter Films LLC All Rights Reserved 【監督】D.W.ヤング 汚れていても黴臭くてもわたしには宝物に見える"本"がある 初めて観た映画、初めて行った映画館の記憶は、案外はっきりとしていたりするが、本にまつわる記憶はそれに較べれば曖昧になってしまっている。それはきっと、映画館に行くという行為が、イベントに近いものであったこととは違い、本が身近なものとして、日常として存在していたからではないか? 本との出会いは、大人からの読み聞かせという耳からだったり、文字を読むという以前に、絵や写真を見るという関わりからはじまっていることも、記憶を不確かなものにしている。 昔の繁華街はシャッター商店街になり、そこにあった本屋も姿を消した。古い記憶にある本屋は奥行きのない店構えで、屋台店のように迫り出した売り台に本が並べられていたりした。 最近はペーパーレスが話題になり、本のデジタル化は、本屋のみならず、出版業界にまで影響が及ぶ、激動の時代に直面している。 『ブックセラーズ』は、本を売ることを生業とした人たちを見つめたドキュメンタリーである。しかし、そこに現れる本を売る行為は、街の本屋のそれとは大きく異なる。 ニューヨークのブックフェア。それはさながら国際展示場などで開かれる見本市の規模で、個性豊かな店舗が区切られたブースで店を開いている。そこにはコレクターならば舌舐めずりするであろう稀少本が並ぶ。 書店主たちも実にユニーク。本を売るという行為の前に、本を見つけるというコレクター根性が剥き出しになり、いつしか話は本を探し出した自慢話に転じ、商売はそっちのけの状態になる。溢れ出すのは本への愛なのだ。 冷静な人ならば、ここに登場する人たちを変わり者と、些か引いて見るのではないだろうか? 個人的な話をすれば、映画に登場する奇人たちの気持ちは実に良く理解できる。そうです…私も立派な本狩人だからです。 怖いもの見たさ、というのは大袈裟でも、ちょっと特異な世界に触れることは、あなたの隠くれていた好奇心を刺激してくれるかも? 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 94% 観たい! (15)検討する (1) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月06日 / 幸せのイタリアーノ 嘘からはじまるロマンチックコメディ 2024年09月06日 / 愛に乱暴 真面目に生きてきた女性が壊れる 2024年09月06日 / 愛に乱暴 人間の我慢の限界を描き、本質に迫った映画 more 2020年01月22日 / キネカ大森(東京都) ミニシアターから名画座まで…いくつもの顔を持つ街の映画館 2019年03月27日 / シネマノヴェチェント(神奈川県) 埋もれた映画に愛の手を…商店街の中のこだわり名画座 2022年06月08日 / プラット赤穂シネマ(兵庫県) 日常の中に映画館で映画を観る習慣が甦った街 more
汚れていても黴臭くてもわたしには宝物に見える"本"がある
初めて観た映画、初めて行った映画館の記憶は、案外はっきりとしていたりするが、本にまつわる記憶はそれに較べれば曖昧になってしまっている。それはきっと、映画館に行くという行為が、イベントに近いものであったこととは違い、本が身近なものとして、日常として存在していたからではないか?
本との出会いは、大人からの読み聞かせという耳からだったり、文字を読むという以前に、絵や写真を見るという関わりからはじまっていることも、記憶を不確かなものにしている。
昔の繁華街はシャッター商店街になり、そこにあった本屋も姿を消した。古い記憶にある本屋は奥行きのない店構えで、屋台店のように迫り出した売り台に本が並べられていたりした。
最近はペーパーレスが話題になり、本のデジタル化は、本屋のみならず、出版業界にまで影響が及ぶ、激動の時代に直面している。
『ブックセラーズ』は、本を売ることを生業とした人たちを見つめたドキュメンタリーである。しかし、そこに現れる本を売る行為は、街の本屋のそれとは大きく異なる。
ニューヨークのブックフェア。それはさながら国際展示場などで開かれる見本市の規模で、個性豊かな店舗が区切られたブースで店を開いている。そこにはコレクターならば舌舐めずりするであろう稀少本が並ぶ。
書店主たちも実にユニーク。本を売るという行為の前に、本を見つけるというコレクター根性が剥き出しになり、いつしか話は本を探し出した自慢話に転じ、商売はそっちのけの状態になる。溢れ出すのは本への愛なのだ。
冷静な人ならば、ここに登場する人たちを変わり者と、些か引いて見るのではないだろうか?
個人的な話をすれば、映画に登場する奇人たちの気持ちは実に良く理解できる。そうです…私も立派な本狩人だからです。
怖いもの見たさ、というのは大袈裟でも、ちょっと特異な世界に触れることは、あなたの隠くれていた好奇心を刺激してくれるかも?
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。