岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

美しき犯罪者と少年のクライムロードムービー

2021年05月24日

ドリームランド

©2018 DREAMLAND NM,LLC

【出演】フィン・コール、マーゴット・ロビー、トラビス・フィメル、ギャレット・ヘドランド
【監督】マイルズ・ジョリス=ペイラフィット

恐慌と砂嵐で見えなくなる夢の世界

1930年代、アメリカ・テキサスのとある田舎町が舞台。世界恐慌の後遺症から未だ立ち直れないまま、町の雰囲気は暗く沈んでいた。それに追い討ちをかけるように、頻発する砂嵐が農地を襲い、人々の労働の意欲を削いでいた。

物語は主人公ユージン・エヴァンス(フィン・コール)の妹のナレーションで始まる。

17歳のユージンは義父であるトラビスから、仕事に就くことを急かされている。不況のなか、ことは簡単ではなく、親の目から逃れる日々が続いていた。

ある日、近隣の町で起きた銀行強盗の逃亡犯に懸賞金がかかり、町は色めき立つ。

ある夜、放置されたエヴァンス家の納屋でユージンは怪我を負った女性と出会す。その女性こそが強盗犯のアリソン(マーゴット・ロビー)だった。

世界恐慌の時代を背景にした強盗犯といえば、『俺たちに明日はない』(アーサー・ペン監督/67年/日本公開68年)が思い浮かぶ。ボニーとクライドを主人公にした、アメリカン・ニューシネマの代表作は、それまでのタブーを打ち破った作品と評価されている。タブーとは暴力やセックスであり、犯罪者をヒーローにすることだった。

『ドリームランド』に漂う時代が象徴する空気感は、"ボニー&クライド"にどことなく近い。

アリソンには強盗犯とともに幼い少女を射殺した殺人犯の容疑もかけられていた。危険を承知でケガの手当をし、納屋で匿うことを承諾するユージンは、次第にこの美しき犯罪者に惹かれていく。

アリソンのマーゴット・ロビーは、妖艶な美しさを好演している。ユージンのフィル・コールの初々しい純真さも素晴らしい。この揃っての好演が、終盤のふたりの儚い悲劇の道行を、少なからずの感情移入へと誘ってはくれるが、物語全体の焦点ボケの散漫さが些か気になる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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