岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

和製スクリューボール・コメディの会心作であり、ラブコメの快作

2021年05月12日

まともじゃないのは君も一緒

©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

【出演】成田凌、清原果耶、山谷花純、倉悠貴、大谷麻衣、泉里香、小泉孝太郎
【監督】前田弘二

丁々発止の台詞の応酬と、スピード感あふれるストーリー展開

新自由主義の弊害による格差社会、そこに端を発する己が一番の不寛容。さらに新型コロナウィルス感染症という未曽有の事態に遭遇し、私たちは得体の知れない不安感と閉塞感に襲われている。

そんな時代は、己の境遇を嘆き悲しむ悲劇よりも、笑って共感して憂さを晴らす喜劇が一番。本作がお手本としているスクリューボール・コメディーも、1930年代の大不況の時代にアメリカ映画で確立したジャンルなのだ。

高田亮脚本、前田弘二監督の名コンビが放った長編第4弾は、昭和の時代の二本立てプログラムピクチャーの香り漂うスクリューボール・コメディの会心作であり、ラブコメの快作でもある。

身分違いの男女が、テンポの良い丁々発止の台詞の応酬、スピード感あふれるストーリー展開とツッコミどころ満載の面白さで突っ走りながら、最後はハッピーエンドを迎えるという物語は王道そのもの。

主演の2人(成田凌、清原果耶)は美男美女なのに変人ってところも"あるある"だし、脇役だってみんなチョット可笑しな行動をとってドタバタしてしまう。

映画の中で50回以上出てくる「普通」っていう言葉は、みんなよく使うけど要するに「多数派」ってことであって、別に少数派が間違っているわけではない。この2人、最初は「普通」にこだわって近寄ろうとしてみるものの、「多数派の理屈」が分かろうはずもなく、砕け散る一歩手前で踏みとどまり、独自の価値観でいいのだと気が付く。

映画を見てて確信を持ったのは、この2人が典型的な発達障害であるということだ。「こだわりが強い」「オウム返しの返答」「空気が読めない」「一方的に自分の話をする」「思っていることをそのまま言ってしまう」「額面通りにしか受け取れない」。

日ごろ私が接しているみんなにそっくりで、爆笑の連続。少しばかりクセが強いけど、愉快な人ばかりで、普通なんてくそくらえ!なのだ。

最後まで笑えました!

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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