岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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キンキー(=奇妙)は個性!メッセージを込めた傑作ミュージカル

2021年04月20日

キンキーブーツ

©Matt Crockett

【出演】ローラ役:マット・ヘンリー、チャーリー・プライス役:キリアン・ドネリー、ローレン役:ナタリー・マックイーン、ドン役:ショーン・ニーダム、ニコラ役:コーデリア・ファーンワース、ジョージ役:アントニー・リード
【脚本】ハーヴェイ・ファイアスタイン
【音楽/作詞】シンディ・ローパー

本場の舞台をそのまま映画館で楽しむ試み

 『キンキーブーツ』の元版は、2005年に製作された劇映画で、潰れかけの靴屋を舞台にした実話ベースのコメディである。そのミュージカル化は早くから着手されたが、漸く実現をみたのは、2012年のシカゴ公演だった。翌年13年にはブロードウェイで初演され、トニー賞では6部門を受賞しヒット作となった。

 脚本はハーヴェイ・ファイアスタイン。ストレイトプレイの『トーチソング・トリロジー』から、ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』を手がけ、プロデューサー、俳優としても活躍する才人。

 作詞、作曲は歌手で女優でもあるシンディ・ローパー。この作品でトニー賞の作曲賞を女性として初めて受賞している。

 また、プロデューサーのひとり川名康浩は、日本人として初のトニー賞オリジナルミュージカル部門の受賞者となった。

 日本では2016年、小池徹平、故・三浦春馬のW主演で初演され、19年にもほぼオリジナルキャストを踏襲して再演された。この公演はチケット入手困難の大ヒットを記録している。

 イギリスの田舎町ノーサンプトンにある老舗の靴メーカー「プライス&サン」は、定番の紳士靴を丁寧な手仕事で仕上げることを売りにしてきた。4代目のチャーリーは父の経営方針に反発して、ロンドンでの生活を目指したが、その矢先、父は急逝してしまう。やむなく店を継ぐことになったが、その経営は破綻寸前に傾いていた。このままでは、旧知の従業員たちを解雇しなければならず、途方にくれていると…従業員のひとりローレンに新しい商品開発を目指せと、ハッパをかけられる。そんな時、ロンドンでドラッグクイーンのローラに出会い、妖艶な彼女(?)にピッタリの"キンキー(=奇妙な)ブーツ"作りに社運をかけることになる。

 本作は「本場の舞台の醍醐味を手軽に楽しめる」をコンセプトにした、新たな試み"松竹ブロードウェイシネマ"の第1弾である。前向きなメッセージを込めたミュージカルはその船出に相応しい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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