岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

美しさとは外見だけではない。人間の総合力なのだ。

2021年03月18日

MISS ミス・フランスになりたい!

© 2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS

【出演】アレクサンドル・ヴェテール、イザベル・ナンティ、パスカル・アルビロ、ステフィ・セルマ
【監督・原案・脚本】ルーベン・アウヴェス

アレックスの夢は、半分だけかなったのかもしれない

 本作で主演を務めるアレクサンドル・ヴェテール(役名アレックス)の美しさは、ルックスだけではない。その仕草・言葉遣い・ファッションはもちろん、ミス・フランスになるための、たゆまぬ努力と気配りのすべてが美しいのだ。

 日本でも、中性的な容姿やファッションの「ジェンダーレス男子」と言われる、性の垣根を越えた男性が認知されてきている。タレントのりゅうちぇる君やゆうたろう君、Matt君などの活躍は、男らしさより自分らしさを貫く彼らの生き方はカッコいいし、オピニオンリーダーでもある。

 9歳の時、「僕の夢はミス・フランスになること」と答えたアレックス。ゲイとかバイの性的志向というより、ただ単に「美しくなりたい」という彼の夢は、社会の“常識”の前では当たり前のように冷笑される。

 そんな彼が青年になってから、「男らしさ」の象徴とも言える、ボクシングジムの手伝いをしているのが面白い。自分自身が何者なのか?男性的とは何なのか?を理解しようとしているのかもしれない。

 そこへ幼馴染で、ボクサーという夢を叶えたエリアス(クエンティン・フォーレ)が登場する。彼は、「ミス・フランスになりたい」というアレックスの夢を否定するどころか後押しする。実に気持ちのいい友情だ。

 近年、ルッキズム(外見主義)批判というのがある。これは「人を外見で判断することはよくない」というよりも「画一的な基準で判断することはよくない」ということだ。そこには人種差別や、人の個性を重視しないコマーシャリズムへの批判がある。

 この映画を観ると、ミス・フランスになるには、個人の主観的要素が強くなる“容姿”よりも、総合的な人間力に重点がおかれていることがよくわかる。ミス(未婚の女性)に限るというルールがあるので男性が優勝できないのはしょうがないが、美の追求に性差は関係無い。

 アレックスの夢は、半分だけかなったのかもしれない。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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