岐阜新聞 映画部

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恋する高揚感が瑞々しい恋愛映画

2021年03月16日

花束みたいな恋をした

©️ 2 0 2 1『花束みたいな恋をした』製作委員会

【出演】菅田将暉、有村架純、オダギリ ジョー、戸田恵子、岩松 了、小林 薫、清原果耶、細田佳央太、押井 守、Awesome City Club
【脚本】坂元裕二 【監督】土井裕泰

出来過ぎもやり過ぎも何故か許せてしまう

 コロナ禍、観客は激減し苦境に立たされた映画館を救ったのは。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットだった。昨年10月の公開以来、12週にわたり観客動員トップを続け、歴代興収などの数々の記録を塗り替え、現在も高い人気を誇っている。その後は『銀魂 THE FINAl』がヒットするなど、映画界はアニメ映画に活気を貰っている。

 それに区切をつけ、週間興行成績でトップとなったのが『花束みたいな恋をした』だった。3月第1週まで、6週間首位を維持している"実写映画"である。

 脚本を担当したのは坂元裕二。1987年、フジテレビ主催の第1回"ヤングシナリオ大賞"を19歳で受賞して、脚本家デビューをはたしている。91年、いわゆる"月9"ドラマ枠で「東京ラブストーリー」が大ヒットし、北川悦吏子とともに"トレンディ・ドラマ"の旗手となった。

 映画は2015年東京から始まる。大学生の山根麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は、ともに終電を逃し、同じ足止め組と深夜カフェで時間をつぶすことになる。そこで客の中に"押井守(本人)"を見かけ、それに気づいたのが自分たちだけだったことで意気投合する。この"運命の出会い"には、前段階の幾つかの偶然の重なりがあり、運命性を強調する訳だが、はじまりはこの位、強引な方が良い。

 この後、ファミレスで好きな小説、作家、興味のあるサブカルなどについて語り合うのだが、このあたりの、"さあ!これから恋がはじまるぞ!" というイチャイチャぶりは、流石に還暦越えには気恥ずかしい。その後は、ミイラ展やガスタンクといった、マニアックな趣味を共有することで惹かれあい恋人関係となる。大学卒業を機に、同棲生活をはじめることになるが、社会人となったふたりの蜜月ぶりにも、やがて綻びが見えるようになり…。

 坂元の脚本は書き過ぎ気味に、丁寧に心象までナレーションで付け加える。それをこまめに拾った土井裕泰の卒のない演出も上手いが、終盤のファミレスのくだりは少々やり過ぎ。でも、こういう青春恋愛映画は嫌いじゃないです。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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