岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

謎多き未解決事件実話の映画化

2021年03月09日

私は確信する

©Delante Productions - Photo Séverine BRIGEOT

【出演】マリーナ・フォイス、オリヴィエ・グルメ、ローラン・リュカ、フィリップ・ウシャン、インディア・ヘア ほか
【監督】アントワーヌ・ランボー

裁判の影の女 彼女を駆り立てるのは何か?

 冒頭、映画がこれから語ろうとする事件のあらましが説明される。裁判の一審で被告には無罪の判決が下っている。

 フランス南西部トゥールーズ。ある冬の日、スザンヌ・ヴィギエが、3人の子どもを残して姿を消す。失踪か?何かの事件に巻き込まれたのか?謎が深まる中、夫であるジャック(ローラン・リュカ)に殺人の容疑がかけられる。

 マスコミは事件をセンセーショナルに取り上げ、報道は過熱する。しかし、明確な動機もなく、証拠も見つからないまま裁判は始まる。そして下った判決は無罪だった。しかし、執拗なまでにジャックの犯行を疑う検察は上告する。そして、二審が始まる。

 この映画は2000年にフランスで実際に起きた"ヴィギエ事件"を題材にした裁判劇である。

 異色と言えるのは、事件の真相を追うひとりの女性の存在である。ノラ(マリーナ・フォイス)は、レストランでシェフを務めるシングルマザー。息子の家庭教師がジャックの娘であった因縁か、ジャックの無実を確信している。

 ジャックは法学部の教授を務めていたが、現在は鬱のような症状で、外出することもなく家にこもっている。子どもたちはそんな父を気遣い、勿論、無実を信じている。

 ノラは再審の弁護をデュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメ)に直談判で依頼する。多忙を理由に拒絶されるがノラは諦めない。遂に折れた、デュポン=モレッティは弁護を引き受けることを承諾し、手始めに250時間に及ぶ通話記録の分析をノラに任せることになる。

 刑事、ベビーシッター、愛人、次々と登場する証人たち。証言の綻びに嘘が見え隠れする。何が真実なのか?

 欧米の映画には優れた裁判劇が多く存在する。

 本作もその例にもれることなく、単純ではない人間関係の深みや、スリリングな展開に引き込まれる。最終弁論のスピーチも圧巻だが、あまりに深入りするノラの心情が、理解できないままなのは、少々気持ち悪い。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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