岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

三大テノールの圧倒的歌声は、全ての雑音を吹き飛ばす!

2021年02月12日

甦る三大テノール 永遠の歌声

© C Major Entertainment2020

【出演】ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ズービン・メータ、ニコレッタ・マントヴァーニ、マリオ・ドラディ、ラロ・シフリン、ポール・ポッツ ほか
【制作】エルマー・クルーゼ

歌えば楽し、「オ~~~~~、ソレ、ミオ」

 三大テノール日本初公演は、1996年6月29日に国立競技場で開催された。S席75,000円、D席でも15,000円という高額チケットながら、約6万枚は即座に売り切れたとか。

 当時のライブレポートを読むと「音はびんびん割れるし短波放送を聞いているよう」「ビールとサンドイッチはいかがっすか?と売り子が練り歩く」という環境の中だが、スーパースターの歌の力は圧倒的だったらしい。ちなみにアンコールは、「川の流れのように」を含め1時間近くあったとのこと。

 映画の前半は、ワールドカップイタリア大会決勝前夜の1990年7月7日、ローマのカラカラ浴場で開催された、パヴァロッティ(54歳)、ドミンゴ(49歳)、カレーラス(43歳)の三大テノール夢の競演だ。白血病を患ったカレーラスの復帰を歓迎する3人の友情のイベントで、白血病患者の支援を行うチャリティーコンサートは、ワールドカップの華やかさも手伝い大成功を収めた。

 楽曲アレンジは、『燃えよドラゴン』のラロ・シフリン。「ニューヨーク・ニューヨーク」「アメリカ」「ムーン・リバー」など、世界中の人が知っている曲をチョイスするなど心憎いばかりの選曲だ。

 「オ・ソレ・ミオ」の冒頭の「オー」を長く伸ばす歌唱法ひとつとっても、三大テノールが乗りに乗っている様子が目に浮かぶ。

 後半は、「三大テノール」がチャリティーから、興行としてビッグビジネスに化けていった過程を、「オペラを俗物化した最悪のイベント」「商業主義の巨人」との批判も含めて、包み隠さず写し出していく。

 私はオペラには全く疎いが、この3人の名前は知っているし、歌声も何度となく聴いている。それもこれも、ワールドカップの度に開催して世界中でライブを体験でき、日本でも生を楽しめたからだ。大衆化の功績は大きい。

 三大テノールの圧倒的歌声は、全ての雑音を吹き飛ばす。3人の魅力を堪能できる映画だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (12)
  • 検討する (0)

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

ページトップへ戻る