岐阜新聞 映画部

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変な家族を支える肝っ玉母さん

2021年02月10日

ハッピー・バースデー 家族のいる時間

©Les Films du Worso

【出演】カトリーヌ・ドヌーヴ エマニュエル・ベルコ ヴァンサン・マケーニュ セドリック・カーン
【監督・脚本】セドリック・カーン

おばあちゃん役でもドヌーヴの主演作を観られる幸せ!

 フランス映画をはじめ、ヨーロッパ映画には、バカンスなどを利用して家族が結集するお話が、ほとんどジャンルとして区分されるほど存在する。

 『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』は、題名どおり、誕生日に集まる家族のお話である。

 アンドレア(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、フランス南西部にある瀟洒なお屋敷で2度目の夫や孫と悠々自適な生活を送っている。その日、彼女の70歳の誕生日を祝うため、子どもたちが訪ねて来る。

 長男のバンサン(セドリック・カーン)は、妻と2人の息子を連れ、次男のロマン(バンサン・マケーニュ)は恋人を連れ、屋敷はたちまち、日常とは違う空気に包まれる。そして宴は始まる。

 その最中、かかってきた電話の受話器を取ったアンドレアは、聴こえてきた声に驚く。その声の主は3年間、音信不通だった長女クレール(エマニエル・ベルコ)だった。

 そんな娘を温かく迎えるアンドレアだったが、兄弟やクレールに放っておかれた娘にとっては、身勝手な乱入者としか思えない。

 案の定、暴走をはじめるクレールは、楽しい家族の時間を台無しにする。

 カトリーヌ・ドヌーヴは60年代から活躍する女優だから、我々の年代には少しお姉さんになる。出演した作品でタイムリーに観たのは『リスボン特急』(ジャン=ピエール・メルヴィル監督)で、公開されたのは72-73年の正月映画だった。共演はアラン・ドロン。フィルムノワールのムードたっぷりの妖しい美男美女のラブロマンスは、中学生には刺激的だった…と記憶している。

 『終電車』(フランソワ・トリュフォー監督/80年=日本公開82年)では、ナチ占領下のパリの劇場の女支配人が、レジスタンスの青年と秘めた恋に落ちる。素敵な大人の女性役は見事だった。

 そのドヌーヴも最近では、おばあちゃん役が多い。個人的には娘のクレールのように尖った女性の方が彼女らしいと思ったりするが…。

 監督は長男を演じているセドリック・カーン。人物のアクが強すぎて、劇中の趣向も空振り気味。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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