岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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革命の理想を忘れ私利私欲に走る親分に、堪忍袋の緒が切れた!

2021年02月11日

KCIA 南山の部長たち

© 2020 SHOWBOX, HIVE MEDIA CORP AND GEMSTONE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

【出演】イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン
【監督】ウ・ミンホ

私はいつもそばにいるよ。好きにやりなさい・・・

 「韓国の大統領の末路は、死体になるか監獄へ行くかだ」。

 韓国では、現在の文在寅氏を含め12人が大統領に就任しているが、歴代の11人中、逮捕・投獄4人、亡命1人、自殺1人、暗殺1人、無事だったのは4人のみだ。

 本作は1979年10月26日に発生した、韓国中央情報部(KCIA)の金載圭部長による、朴大統領と車警備室長暗殺事件を基にしたフィクションである。事件発生当日の事実関係は相当忠実に再現されているが、それに至る経緯や暗殺の動機は、この映画独自の観方や解釈が施されているため、敢えてフィクションと銘打っている。

 そのためか映画の中では、パク大統領(イ・ソンミン)のみ実名で、暗殺実行者のキム・ギュピョンKCIA部長(イ・ビョンホン)をはじめ関係者の名前は全員微妙に変更されている。

 1961年に軍事クーデターを一緒に闘った革命の同志、パク・チョンヒ少将と彼の部下キム・ギュピョン、パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)は、1979年時点ではそれぞれ大統領・KCIA部長・同元部長であった。

 映画のテイストは、東映ヤクザ映画だ。韓国政権の腐敗に立ち上がった当時の理想を忘れ、私利私欲に走り、反対する者は徹底的に弾圧する親分パク大統領。その一の子分であったパク元KCIA部長は、親分の機嫌をそこね失脚。アメリカ下院で親分の不正を告発する聴聞会に出席し、回顧録を準備する。

 二の子分キム現KCIA部長は、三の子分で親分の腰巾着パク室長からいわれなき失態を追及され主導権をとられる。親分も、暴言・叱責・侮辱を繰り返す。最後はキム部長の盟友パク元部長を黙らせるため「私はいつもそばにいるよ。好きにやりなさい」との暗黙の命令を出し、フランスで抹殺させる。

 それでも横柄な態度しかみせず革命の理想を忘れたパク大統領に、キム部長の堪忍袋の緒が切れたのだ。堂々の社会派サスペンス映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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