岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

泣ける音楽ドキュメンタリー映画の誕生だ

2020年12月10日

ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった

©Robbie Documentary Productions Inc. 2019

【出演】ザ・バンド、マーティン・スコセッシ、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、エリック・クラプトン、ロニー・ホーキンス、ヴァン・モリソン、ピーター・ガブリエル、タジ・マハール、ジョージ・ハリスン
【監督】ダニエル・ロアー

ロビー・ロバートソンは、いまでもイカス親父だった

 私が洋楽に最初に触れたのは、小学生時代のTV番組「ザ・モンキーズ」からだが、映画に夢中になってからは、カーペンターズやサイモン&ガーファンクルなどを好んで聴いていた。ザ・バンドなんて見たことも聞いたこともなかった。

 映画にのめり込んでいく中、『タクシー・ドライバー』(1976年)に衝撃を受け、「一生付いて行こう}と決めたのがマーチン・スコシージ(当時の表記)監督だ。

 そこに登場したのが『ラスト・ワルツ』(1978年)。のちに観た記録映画『ウッドストック』(1970年)の編集で名を上げたスコシージによる、ザ・バンドの伝説のライブのドキュメンタリーで、彼らの偉大さがよくわかる臨場感あふれる傑作だった(キネ旬19位)。

 解散コンサートでもあり、すっかり忘れていたザ・バンドであるが、34年ぶりに再会した。洋楽ファンには失礼を承知でいうが、リーダーでギタリストのロビー・ロバートソンは生きていたのだ!あのカッコよかった彼がすっかり老けちゃってて、でもイカス親父で「かつて僕らは兄弟だった」なんてうそぶいている。ていうか、今でもカッコいい。

 映画は、ロビー・ロバートソンの回想を中心に進む。5人のメンバーたちの熱い絆や、その後の埋めがたい断絶、ボブ・ディランとの関係性などが、彼の証言と貴重なアーカイブ映像で蘇り、バンドの紆余曲折がわかってくる。さらにブルース・スプリングスティーンやエリック・クラプトンなど超大物が次々に登場し、彼らの魅力を語る。

 ザ・バンドが活動したのは1967年から1976年の10年間。アメリカン・ニューシネマの代表作『イージー・ライダー』(1969年)でも音楽が使われ、時代の最先端を走っていた彼ら。疾風怒濤の10年間は長いようで短く、その後の彼らの活動の方がずっと長い。

 素晴らしい音楽が生まれる瞬間と、人間の壮絶な生き様。泣ける音楽ドキュメンタリーの誕生だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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