岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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感動の共有を試みたテレビマンが作った渾身のドキュメンタリー

2020年12月01日

ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ

© 2020「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」製作委員会

【出演】ホセ・ムヒカ、ルシア・トポランスキー
【監督】田部井一真

人間として日本人として、その言葉に衝撃を受ける

 今年6月にCINEXでも公開された『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』は、この映画の監督エミール・クストリッツァが、トラクターを運転する大統領を見つけたことが映画づくりのきっかけになった。 "世界でただひとりの腐敗していない政治家"の姿は、南米の国ウルグアイに留まることなく、世界へその存在とメッセージを届けることになる。

 本作『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』は、日本のテレビ局(フジテレビ)のディレクター田部井一真が、ムヒカ大統領のスピーチを耳にしたことにはじまる。

 2012年、ブラジル・リオデジャネイロで行われた国連の"持続可能な開発会議"において、登壇したウルグアイ大統領のムヒカは、先進国の大量消費の現状を厳しく批判する演説を行った。そうそうたる世界の指導者たちの中にあって、はじめ、ムヒカ大統領の存在感は小さなもので、その知名度は高くはなかった。優しく語りかけるように始まった演説は、難しい理屈を捏ねるものではなく、当たり前の事をごく自然に諭すような説得力に満ちていた。「私たちは本当に仲間なのですか?」世界はその言葉に衝撃を受ける。

 田部井はムヒカ大統領への突撃取材を試みる。映画では、手持ちのカメラの粗っぽいこの時の映像が映し出される。大国の大統領であれば、そこに立つことはない小さな農場の一角、大統領は多くの支援者に囲まれて登場する。恐る恐る声をかけ、差し出したマイクロフォンとカメラに、大統領は柔和な笑顔で応える。

 任期を終えたムヒカは、田部井との約束を果たすため来日する。まず向かうのは、日本ヘ来たからには必ず訪れなければならない場所と明言する広島だった。"人間は同じ石につまづく唯一の動物"…その人間が犯した戦争の惨劇。 若者を前にムヒカは語る。日本人は西洋の文化を受け容れることで、素晴らしい日本人らしさを棄ててしまった。

 「今、あらためて日本人としてのあるべき将来を見つめ直そう!」このメッセージは胸を打つ!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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