岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

伝説の映画は、やっぱり素敵だった

2020年10月25日

真夏の夜のジャズ

© MCMLIX BY RAVEN FILMS, INC.

【出演】ルイ・アームストロング、セロニアス・モンク、チャック・ベリー、アニタ・オデイ ほか
【監督・製作】バート・スターン

当時の観客のファッションにも注目!

 私の友人や同僚には何人かジャズファンがいて、名古屋のライブハウス"Jazz inn Lovely"に連れて行ってもらったり、CDを借りたりした。たしなむ程度のジャズであるが、ドキュメンタリーの映画となると俄然興味が湧いてくる。

 本作は、1958年7月に開催された「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」の様子を捉えたドキュメンタリー映画で、日本初公開は1960年8月。その年のキネ旬ベストテンでは錚々たる劇映画が選ばれる中での第15位。2位に選んだ文芸評論家の佐々木基一は選評で「文句なしに楽しい映画だった」。3位に選んだ映画評論家の飯田心美は「米国では専門の映画人でない商業写真家の手になる…そうした実験が試みられ、みごとな成果をおさめた」。

 私は恥ずかしながらこの映画の存在を知らなかった。得てして、人の記憶の中にだけ残る"伝説の傑作"と言われる映画は、その後の映像技術の進歩や模倣を上回る撮影手法に慣れた観客にとって、古臭くしか見えない事が多い。

 しかし、本作を初めて観た私は、明るい太陽の光の中に映し出された伝説のミュージシャンの素晴らしいパフォーマンスが、カラーで撮影されている事にまず驚き、ライブを見ている肌の色からファッションまで色とりどりの観客が何度もインサートされる事で、当時の空気感を十二分に感じる事ができた。

 さらに、戦後初めて開催されたアメリカズカップの様子を入れ込んでいるが、映画に写る海水面やヨットの姿が、今でいうPVのようで面白い。

 チャック・ベリーやルイ・アームストロングなど知ってる顔が出てくるのも嬉しいが、個人的には観客の当時のファッションに注目した。スーツやジャケットのトラッドな服装にノータイで、シャツは第二ボタンまで開襟。サングラスはレイバンのプラスティック・フレーム。とにかくオシャレなのだ。

 伝説の映画は、やっぱり素敵だった。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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