岐阜新聞 映画部

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時代に翻弄されたある女優の隠された実話

2020年10月20日

ソニア ナチスの女スパイ

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【出演】イングリッド・ボルゾ・ベルダル、ロルフ・ラスゴード、アレクサンダー・シェーア、ダミアン・シャペル
【監督】イェンス・ヨンソン

諜報の影には運命に抗えない悲劇がある

 第二次世界大戦中の1940年、ナチス・ドイツはデンマーク、ノルウェーに侵攻した。連合国のイギリスとフランスはそれを阻止すべく、ノルウェー援護のために遠征部隊を派遣したが、ドイツ軍はフランス侵攻を敢行したため、連合国軍はあえなく撤退を余儀なくされ、ナチスによるノルウェー占領は本格化することになった。

 その頃、ソニア・ヴィーゲット(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)は女優として活躍し、舞台で喝采を浴びていた。彼女の美貌と人気を目に留めたナチスの国家弁務官ヨーゼフ・デアボーフェンは、彼女をプロパガンダに利用しようと接近を図る。

 ソニアは隣国スウェーデンの作家と結婚したこともあり、スウェーデンでも人気を獲得していた。遠征公演を口実に、デアボーフェンからの誘いを拒絶する。

 それと同じくして、スウェーデンの諜報部が、ソニアにスパイとしてナチスの懐中に飛び込むことを要請してくる。

 ナチスとスウェーデンの板挟みとなり苦悩するソニアだったが、父親が逮捕されたことにより、デアボーフェンに接近する道を選ばざるを得なくなる。スウェーデンの諜報部もそれは織り込み済みで、彼女には情報の収集を期待するのだった。

 ソニア・ヴィーゲットは1913年にノルウェーの南部ノトデンに生まれた。国立工芸・芸術産業学校を卒業後、34年に女優としてデビューしている。戦後もノルウェー、スウェーデン、デンマーク各国で演劇、映画に多数出演した。

 『ソニア ナチスの女スパイ』は女優ソニア・ヴィーゲットの真実の物語だが、戦中の国家間の利害関係に隠され、公になることはなかった。

 デアボーフェンに接近したソニアは、彼の寵愛を受けて邸宅にも出入りするようになり、信頼も得るようになるのだが、運命は彼女を翻弄する。

 1980年、ソニアは晩年を過ごしたスペイン・ラルファスデルビで静かにこの世を去った。

 歴史の裏に埋もれていたソニアのスパイ活動が公表されるのは、2005年に公文書が公開されたあとのことだった。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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