岐阜新聞 映画部

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Meet somewhere

”ジャンル映画”といってもいいほど数が増えてきた終活映画

2020年10月10日

グッバイ、リチャード!

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【出演】ジョニー・デップ、ローズマリー・デウィット、ダニー・ヒューストン、ゾーイ・ドゥイッチ、ロン・リビングストン、オデッサ・ヤング
【監督・脚本】ウェイン・ロバーツ

ファンタジーとしてみればOK

 もはやコメディやホラーのような”ジャンル映画”といってもいいほど数が増えてきた”終活映画”。

 私は長年、某部位からの出血に悩まされてきたが、今月思い切って大腸内視鏡検査を受けてみることにした。自分では恥ずかしながら”い〇ぢ”だと思っているが、万が一重大な病気だったらどんな精神状態になるのか、今から心配である。

 本作は、余命180日を宣告された英文学が専門の大学教授リチャード(ジョニー・デップ)が、残りの人生をどう過ごすのか?を描いた映画である。

 果たして彼は、『生きる』の渡邊勘治(志村喬)のように、市民のために小公園を作るという善人になるのか?『最高の人生の見つけ方』の北原幸枝(吉永小百合)のように、大金持ちに取り入って自分の欲求を満たすための旅をするのか?

 今まで堅物で通してきた彼が選択したのは、ワルになるということだ。講義に出席する学生を挑発して大半を退去させ、マリファナや酒をかっくらい、バーの女店員とは情事にふけり、男子学生とは淫行に及ぶ。

 彼が自分の余命を家族に伝えようとする矢先に、娘がレズビアンだとカミングアウトしたり、奥さんがリチャードの上司との不倫を告白したりと、踏んだり蹴ったりだったのは分かるが、こんなことする奴はいないと思うし、少なくとも私は1ミリも共感できない。

 そんな事をしても死への不安や人生の後悔は満たされないと描いてあればいいのだが、監督に腕が無いのか、「バカやってみたいでしょ」以外の言葉が浮かばない。

 後半、彼は酒や薬を断ち、家族とも関係改善が見られるようになる。しかし、そこへ至るまでの説得力に欠けており、取ってつけた感が否めない。ラストに至っては、結局どうしたかったのよと、疑問符????付けまくりである。

 こんな風で”終活”に関しては、私にはあまり参考にならない映画であったが、悪い映画ではない。ファンタジーとしてみればOKだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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