岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

美術館そのものに焦点をあてた映画

2020年08月28日

プラド美術館 驚異のコレクション

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【ナビゲーター】ジェレミー・アイアンズ
【監督・脚本】ヴァレリア・パリシ

一番印象に残ったのは、映画部部長の『太陽がいっぱい』とのつながり

 第9回岐阜新聞映画部アートサロンにて『プラド美術館 驚異のコレクション』を観る。松岡未紗さんのトークショーは今回で6回目。今までは、ボス、ゴーギャン、クリムト、エゴン・シーレ、ゴッホの実像や作品に迫る映画、及びナチスの美術品強奪映画について語っていただいたが、今回は美術館そのものに焦点をあてた映画である。

 CINEXは、コロナ下で座席間隔を空けてではあるが満席の大盛況。アートサロンはいつも大人気である。プラド美術館には10人以上の人が行ったことがあると手を挙げていたが、岐阜の方ってアートが好きな方が多いのか。

 映画は、プラド美術館開館200周年記念ということからか、あれも見せようこれも知ってもらおうと盛り沢山な内容になっており、情報量が多く、初心者には面食らう構成となっていた。

 92分の上映時間の中に、スペインの歴史、王室と美術品の結びつき、美術館の成り立ち、所蔵品の紹介などが矢継ぎ早に、しかも時系列が行きつ戻りつ流れていく。さらに短いカットの積み重ねで、登場する絵画を味わう余裕がない上、無駄な風景や意味の分からないフラメンコシーンがインサートされ、何に焦点を絞っているのかがよく分からない。

 ナビゲーターは、シックな黒を身にまとったジェレミー・アイアンズ。落ち着いて威厳のある解説はいいが、何故にイギリス人の俳優をもってきたのか?アントニオ・バンデラスやハビエル・バルデムには断られたのか?

 まあ、こういういちゃもんを付けたくなってくるのは私の教養の無さであり、事前の予習を怠ったせいでもある。映画が悪いのではない。

 実は一番印象に残ったのは、トークショーでの映画部部長の映画『太陽がいっぱい』への言及。映画でリプリーが買った画集にあるフラ・アンジェリコの「受胎告知」は、この名作の重要な隠しテーマだが、これはプラド美術館に収蔵されている。この日いちばんの収穫だった。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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