岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

平均年齢72歳のチア・チームが起こした奇跡

2020年08月24日

チア・アップ!

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【出演】ダイアン・キートン、ジャッキー・ウィーヴァー、パム・グリア、セリア・ウェストン、リー・パールマン
【監督】ザラ・ヘイズ

終活の場が夢の舞台に変わる

 独り身のマーサ(ダイアン・キートン)は終活を決意、健やかな余生を過ごすための引越しを決行する。やって来たのは、街ごとまるまるの”シニアタウン”で、そこに住む高齢者のため、至れり尽くせりの配慮が施されているのだが、新参のマーサにはいささか鬱陶しい。

 隣人となったシェリル(ジャッキー・ウィーヴァー)は、歓迎の意味を込めて、マーサの家に友人を引き連れて入り込み、酒宴で盛り上がる始末。引越しの疲れと先を思いやるあまり、ぐったりと疲れるマーサだった。

 ダイアン・キートンは1946年ロサンゼルス生まれの74歳。60年代からブロードウェイで俳優としてのキャリアをスタートさせ、70年代には映画界に進出した。72年の『ゴッドファーザー』では、コルレオーネ家の三男マイケル(アル・パチーノ)の妻ケイ役を演じ、77年の『アニー・ホール』では、アカデミー主演女優賞に輝いた。その監督であり、アニーの相手役アルビー・シンガーを演じたウディ・アレンとは、当時、実生活でも恋人関係にあった。アニーはメンズサイズのパンツにベスト、”ラルフローレン”のネクタイを緩く巻いたファッションは、”アニー・ホール・ルック”として流行した。

 やがて、打ち解けたシェリルとの思い出話の最中に「昔、チアリーダーになりたかったの」とふと漏らした一言から、夢を叶えるのは今からでも遅くない、歳なんて関係ないと焚きつけられ、事態は一変することになる。チアリーディング・チームのオーディションには8人の同胞が集まるが、誰もが未経験者で、何かしらの問題を身体中に抱えていた。

 何とか始まったチーム練習にも、横やりを入れてくる輩がいる。一方では有能な若者を引きずり込むことにも成功して、幾つかの挫折を乗り越えて、活動には明るい方向性が見えはじめたのだが…。

 映画に登場する街ごとまるまるがシニアタウンというような大規模なものは日本にはなく、せいぜい、ひとつの建物の敷地規模にとどまる。それでも対人関係をはじめとした厄介事は他人事ではない。そして映画にはいくつかの生きるヒントが散りばめられた応援歌にもなっている。素敵な歳の取り方をしたダイアン・キートンのエールには説得力がある。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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