岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品黒い司法 0%からの奇跡 B! 不公正に対峙する黒人弁護士の闘い 2020年04月23日 黒い司法 0%からの奇跡 © 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. 【出演】マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソン ほか 【監督】デスティン・ダニエル・クレットン 変わることのない差別の構図を告発する ハーバード大学のロースクールを卒業し、弁護士資格を得たブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は、いくつかの弁護士事務所からのオファーをよそに、人権運動に携わる決意を固め、未知の地アラバマ州に乗り込む。 そこではいきなり余所者扱いの洗礼を受けることになり、想定以上の壁があることを実感することになるが、現地で人権擁護活動に励むエバ(ブリー・ラーソン)の協力を得て、小さな事務所を設立する。 「アラバマ物語」は1960年に発表されたハーパー・リーの小説で、ピューリッツァー賞を受賞している。1962年には、ロバート・マリガン監督で映画化された。舞台はアメリカ南部のアラバマ州メイカム(架空)で、白人女性に対する婦女暴行事件で、容疑者となった黒人の弁護をすることになった白人弁護士の闘いを描いている。映画はアカデミー賞で主演男優賞、脚色賞、美術(白黒部門)を受賞している。物語は、公民権運動が立ち上がる以前のアメリカにおける人種差別の暗部を描くとともに、法廷ドラマとしても出色の作品で、白人弁護士カティアスはアメリカ映画100年のヒーローで第1位に選ばれている。演じたのはグレゴリー・ペックで『ローマの休日』と共に彼の代表作である。 ブライアンが訪ねる裁判所や検事局で、繰り返し勧められるのは『アラバマ物語』の記念館を見学することで、それは映画がこの地の伝説になっていることを意味する。 ブライアンが先ず着手するのは、死刑囚への面談だった。そこで、白人女性殺害の容疑で死刑判決を受けた黒人ウォルター(ジェイミー・フォックス)に出会う。 彼の事件と裁判記録を精査するうち、彼が犯人であることを示す証拠はなく、容疑は検察によって仕立て上げられたものだったと確信する。 いくつかの敗北と挫折を繰り返す闘いは長く、再審への道は遠い。映画は実話を基にしている。今も何ら変わることのない差別の構造を改めて実感する、強いメッセージを込めた佳作である。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (8)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月13日 / 幻の光 デビュー作から並みの監督でないことはよくわかる 2024年09月12日 / 密輸 1970 勝つのは誰だ?四つ巴のクライム・アクションムービー 2024年09月10日 / 幸せのイタリアーノ 嘘つきシニョーレと車椅子セニョリータの大人のラブストーリー more 2023年05月31日 / 【思い出の映画館】七ぶらシネマ通り(静岡県) 静岡市内にあった明治時代から続く映画館通り。 2021年08月11日 / 【思い出の映画館】上野セントラル(東京都) 下町のターミナル駅にあった人情味溢れる松竹封切館 2020年06月03日 / 小倉昭和館(福岡県) 戦前から幾多の苦難を乗り越えた街にひとつの映画館 more
変わることのない差別の構図を告発する
ハーバード大学のロースクールを卒業し、弁護士資格を得たブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は、いくつかの弁護士事務所からのオファーをよそに、人権運動に携わる決意を固め、未知の地アラバマ州に乗り込む。
そこではいきなり余所者扱いの洗礼を受けることになり、想定以上の壁があることを実感することになるが、現地で人権擁護活動に励むエバ(ブリー・ラーソン)の協力を得て、小さな事務所を設立する。
「アラバマ物語」は1960年に発表されたハーパー・リーの小説で、ピューリッツァー賞を受賞している。1962年には、ロバート・マリガン監督で映画化された。舞台はアメリカ南部のアラバマ州メイカム(架空)で、白人女性に対する婦女暴行事件で、容疑者となった黒人の弁護をすることになった白人弁護士の闘いを描いている。映画はアカデミー賞で主演男優賞、脚色賞、美術(白黒部門)を受賞している。物語は、公民権運動が立ち上がる以前のアメリカにおける人種差別の暗部を描くとともに、法廷ドラマとしても出色の作品で、白人弁護士カティアスはアメリカ映画100年のヒーローで第1位に選ばれている。演じたのはグレゴリー・ペックで『ローマの休日』と共に彼の代表作である。
ブライアンが訪ねる裁判所や検事局で、繰り返し勧められるのは『アラバマ物語』の記念館を見学することで、それは映画がこの地の伝説になっていることを意味する。
ブライアンが先ず着手するのは、死刑囚への面談だった。そこで、白人女性殺害の容疑で死刑判決を受けた黒人ウォルター(ジェイミー・フォックス)に出会う。
彼の事件と裁判記録を精査するうち、彼が犯人であることを示す証拠はなく、容疑は検察によって仕立て上げられたものだったと確信する。
いくつかの敗北と挫折を繰り返す闘いは長く、再審への道は遠い。映画は実話を基にしている。今も何ら変わることのない差別の構造を改めて実感する、強いメッセージを込めた佳作である。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。