岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

人の死に向き合う看取り士を知る機会

2020年04月14日

みとりし

©2019「みとりし」製作委員会

【出演】榎木孝明、村上穂乃佳、高崎翔太、斉藤暁、大方斐紗子、堀田眞三、片桐夕子、石濱朗、仁科貴、みかん、西沢仁太、藤重政孝、杉本有美、松永渚、大地泰仁、白石糸、川下大洋、河合美智子、つみきみほ、金山一彦、宇梶剛士、櫻井淳子
【監督・脚本】白羽弥仁

観賞後にはしんみりとアップルパイでお茶を

 人は等しく”死"をむかえる。しかし、そこには様々な形が存在する。老いや病によって緩やかな時間を経過することもあれば、災害や事故で突然その時に直面することもある。

 柴久生(榎木孝明)は定年間際のサラリーマンだったが、交通事故により、ひとり娘を突然失う。その喪失感に憔悴した柴は、発作的に自殺を図る。その時、「生きろ!」という声に押しとどめられる。 同僚で友人の川島の死を知ったのはそんな時だった。墓参の折に”看取り士”をしている女性に出会い、あの日の声が川島の心の叫びであったことを知る。

 ”看取り士”とは、最期に残された時間で旅立つ人や見送る人に寄り添い、支える人のことを言うが、決して世に広く知られた職業とは言えない。

 映画では葬儀を執り行なうことになった人たちを描いた『お葬式』(伊丹十三監督 84年)や、納棺士を主人公にした『おくりびと』(滝田洋二郎監督 08年)があり、経験で培われることはない体験を当事者目線としている。

 個人的な話になるが、一昨年、父親を見送った際に葬儀の喪主を体験し、納棺士の仕事を目にする機会があった。これは貴重な体験だったが、父が死をむかえることになった病院での時間には接点が少なく、別れは突然に訪れた。

 5年後、柴は岡山県高梁市で看取り士としてセカンドライフを送っている。そこに9歳の時、母を亡くした、新人の高村みのり(村上穂乃佳)が赴任して来る。

 人の死は様々で、大勢の親族に見守られながらの大往生もあれば、孤独死もある。旅立つ人、送る人、それぞれに寄り添う、見届ける人の姿が、みのりの成長とともに描かれる。

 先にある悲しみに押し潰されそうになる時、生きる瞬間に笑顔でいられることは、人の温もりだと知らされる。医療行為のない看取り士の仕事は、その心の橋渡しを担っている。映画はそれを優しく教えてくれる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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