岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

実際の城を使い、当時のファッションにも注目の華やかで贅沢な映画

2020年03月14日

ダウントン・アビー

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【出演】ヒュー・ボネビル、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリー、エリザベス・マクガバン、マギー・スミス、イメルダ・スタウントン、ペネロープ・ウィルトン
【監督】マイケル・エングラー

映画だからこそ自分の知らないアッパーな世界を見てみたい

 イギリスの階級社会は、身分制度でなく文化の違いという事らしい。階級はアッパー、ミドル、ワーキングのクラスに分かれているが、境目はあいまいのようだ。

 私はイギリス映画では、ケン・ローチに代表される労働者階級を主役にした階層的格差や社会的歪みを描いたものを好んで観るが、生活様式や文化の違う上流社会を描いた映画も嫌いではない。というより、映画だからこそ自分の知らないアッパーな世界を見てみたい。

 本作は日本でも放映されたテレビシリーズの初の映画化であるが、冒頭に今までの人間関係を中心に物語のおさらいが描かれており、ビギナーには親切な仕様となっている。それでもコスチュームに特徴のある女性登場人物たちはまだいいが、白の蝶ネクタイに黒のスーツなど、一見同じような服装の執事や従者や下僕といった男性登場人物たちになると、誰が誰だか混乱してくるのは否めない。

 物語は、イギリス国王ジョージ五世とメアリー王妃夫妻(現エリザベス女王の祖父母)が、「ダウントン・アビー」を訪れるとの知らせから始まる。その一報を聞いた当家のクローリー一族とその使用人たちは、栄誉と緊張のなか準備を進めるが、上から目線の王室付き従者たちによって、本番前にはすっかりその仕事を奪われてしまう。したたかなクローリー家使用人たちが素直に従うはずはなく、色々策略を考えての、すったもんだのドタバタ劇が始まる。

 女性が財産を相続できなかった時代であり、そのことがドラマを生んでいるのだが、アイルランドの独立運動とかゲイが犯罪であったことなどがストーリーの中にほどよく組み込まれ、テレビシリーズのファンにも楽しんでもらえるような設計になっている(ビギナーの私にはゲイの部分に若干の唐突感があったことは確かだが)。

 実際の城(ハイクレア城)を使った本物ぶりには目を見張り、当時のファッションにも注目できる。華やかで贅沢な映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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