才人監督が選んだのは第一次世界大戦
2020年04月21日
1917 命をかけた伝令
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【出演】ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、アンドリュー・スコット、クレア・デュバーク、リチャード・マッデン、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ
【脚本・製作・監督】サム・メンデス
二人の伝令は無事任務を果たせるか?
英国生まれのサム・メンデスは米国中流社会の偽善と没落を描いた『アメリカン・ビューティー』(1999)で注目され、その後『ロード・トゥ・パーディション』(2002)、『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』(2008)など重厚な作風で、どのジャンルの映画でも一級品を作り上げてきた。近年は『007 スカイフォール』(2012)で単なるアクションものでない007を創造するなど、活躍は目覚ましい。
1つ指摘しておきたいのは舞台の演出家としての顔。英国のナショナル・シアターのライブ・ビューイングという催しにより彼が演出した生の舞台の映像化を見る機会があった。米国の投資銀行リーマン・ブラザースを立ち上げた3兄弟の3世代に渡る年代記「リーマン・トリロジー」は、150年以上の物語で総勢数十人以上の登場人物たちを3人の男優のみで演じ切るという異色作。2回の休憩をはさんで4時間近い上演時間。演出のサム・メンデスの別の側面を知る意味で興味深かった。
その彼が選んだ新作映画の題材は第一次世界大戦。キューブリックの『突撃』(1957)、ピーター・ウィアーの『誓い』(1981)などを思い出す。本作でアカデミー撮影賞を受賞したロジャー・ディーキンスのカメラがまさに超絶技巧だ。まず驚いたのは、塹壕の中の縦横無尽なカメラワークによるワンカットの撮影。後半崩れかけた鉄橋を渡ろうとしてカメラの視点がいきなり真横になる箇所、伝令兵がトラックに乗り込むとカメラもまるで兵士の1人になって正面から兵士を捉え続ける箇所など。どうやって撮影しているのかメイキングを見たいところだが、何もない橋のシーンはクレーンを使っているのか、狭いトラック内の撮影はよほど小型の手持ちカメラでもないと無理な撮影だ。
こうした技術により観客はまさに戦場に放り投げられる。伝令となって戦場を駆け巡る体験をした気分にさせられる。
語り手:シネマトグラフ
外資系資産運用会社に勤務。古今東西の新旧名画を追いかけている。トリュフォー、リヴェット、ロメールなどのフランス映画が好み。日本映画では溝口と成瀬。タイムスリップして彼らの消失したフィルムを全て見たい。
語り手:シネマトグラフ
外資系資産運用会社に勤務。古今東西の新旧名画を追いかけている。トリュフォー、リヴェット、ロメールなどのフランス映画が好み。日本映画では溝口と成瀬。タイムスリップして彼らの消失したフィルムを全て見たい。