岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

名曲揃いのナンバーと洗練されたダンスパフォーマンスで、私のココロを魅了する

2020年02月26日

キャッツ

©2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.

【出演】ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン、フランチェスカ・ヘイワード
【監督】トム・フーパー

娼婦猫グリザベラが歌う「メモリー」は圧巻

 恥ずかしながら、私は劇団四季の舞台版「キャッツ」は観たことがない。また、幸いにもアメリカの批評家の酷評や、北米での興行的惨敗情報は事前に知らず、ほぼ白紙の状態で観ることができた。

 私が本作をCINEXで観た後の感想は、「ズバリ、とても面白い!」。

 原作のT・S・エリオット(ノーベル文学賞受賞者)の詩にアンドリュー・ロイド=ウェバーが作曲した曲にのせて、猫に扮した俳優たちがロンドンの片隅のゴミ捨て場で歌い踊る。全編をほぼ歌のみで繋いでいくミュージカルは、名曲揃いのナンバーと洗練されたダンスパフォーマンスで、私のココロを魅了する。

 対象にいくらでも近寄り迫っていける映画のよさをいかし、ほぼ猫耳を付けただけの顔で微妙な感情を表し、毛の少ない身体のラインが見えるような肉体は、ダンスの美しさを際立たせる。舞台のように、一定の距離から定点で繫ぎ目なく観せていく表現法も好きだが、せっかく映画で観るのだから、クローズアップやカットバックなどの技法を駆使し、見せたいものを強調していく映画的表現法で楽しみたいのだ。

 本作は臆病な捨て猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)を狂言回しとし、様々な猫の様々な生き様を歌とダンスで表現していく。

 私の家には飼い猫が3匹いるが、警戒心が強く(特に私には)、必要な時しか寄ってこない。また、プライドが高く媚を売らない。『キャッツ』でも、映画の中で「猫は犬にあらず」と宣言されるように、猫のそういった特性を人間になぞらえ、自分で考え自分の力で生きていけ、孤独を恐れず気高くあれと私たちにメッセージを送ってくれる。

 舞踏会で1匹だけ選ばれる「天上への旅」への猫は、昔のスターで今は落ちぶれた娼婦猫グリザベラ(ジェニファー・ハドソン)だった。嘲笑と差別の対象だった猫があえて選ばれる。この優しさが心に染みる。それにしても、彼女が歌う「メモリー」は圧巻である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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