岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品男はつらいよ お帰り 寅さん B! 正直言ってこんなに泣ける寅さん映画は初めてだ 2020年02月25日 男はつらいよ お帰り 寅さん ©2019 松竹株式会社 【出演】渥美清/倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田吟、池脇千鶴、夏木マリ、浅岡ルリ子、美保純、佐藤蛾次郎、桜田ひより、北山雅康、カンニング竹山、濱田マリ、出川哲朗、松野太紀、林家たま平、立川志らく、小林稔侍、笹野高史、橋爪功 【監督・原作】山田洋次 寅さん映画を観たことがない人も、是非観てもらいたい一本 1974年の高1の春、友達4人と豊橋松竹で観た「寅さん大会」3本立の光景は未だに鮮明に覚えている。そしてその年のお盆、吉永さんが2度目のマドンナを演じた『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』以来、私は毎年かかさず寅さん映画を封切りで観ていた。なるべく満員の日を選び、前の方の席(又は通路での座り見)で、怒涛のような笑い声の中、あの独特の雰囲気と共に映画を楽しんでいた。 いつかは終わりがあると思ってはいたが、1995年暮れに封切られた『男はつらいよ 寅次郎紅の花』のラストシーン、阪神大震災で被災した神戸市長田区のパン屋で、ボランティアをしている寅さんの姿がリアルタイムでの最後となった。 寅さん映画をずっと観続けた醍醐味は、撮影されたその時代のリアルな風景や生活文化、出演している俳優の生身の歳のとり方が、観客と共に体感できる点にある。観ている側の人生と映画とがシンクロし、「寅さんが惚れてたあのマドンナの時は、自分はこんなだったなあ」と懐かしむ事ができるのだ。 「寅さんは私たちの心の中で生きてる」。山田洋次監督はファンの期待を裏切ることなく、「こんなだったら有りだよね」と見事な映画を作ってくれた。 お話の中心は、寅さんの甥・満男(吉岡秀隆)の今である。多くの寅さんファンは、満男が生まれた時から彼の成長をわが子の様に見守ってきたが、なんと小説家になっていた!それもシャイな性格は相変わらず。母のさくら(倍賞千恵子)も父の博(前田吟)も老けてはいるが元気である。 正直言ってこんなに泣ける寅さん映画は初めてだ。歳をとった寅さんファミリー達の「そういえば寅さんはこう言ってたなあ」との回想シーンが出てくるたび、当時は爆笑だったり感銘を受けたシーンが、今は懐かしくて泣けてくる。 映画の出来は良いので、寅さんファンはもちろん、寅さん映画を観たことがない人も、是非観てもらいたい一本である。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (8)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年09月06日 / 幸せのイタリアーノ 嘘からはじまるロマンチックコメディ 2024年09月06日 / 愛に乱暴 真面目に生きてきた女性が壊れる 2024年09月06日 / 愛に乱暴 人間の我慢の限界を描き、本質に迫った映画 more 2020年10月28日 / 別府ブルーバード劇場(大分県) 子供に夢を与えたいという思いから始まった映画館 2018年10月24日 / パルシネマしんこうえん(兵庫県) 神戸の下町で、館主こだわりの二本立てに興じる 2022年12月28日 / シネマエポック(鳥取県) 白壁土蔵の城下町にある街なか映画館。 more
寅さん映画を観たことがない人も、是非観てもらいたい一本
1974年の高1の春、友達4人と豊橋松竹で観た「寅さん大会」3本立の光景は未だに鮮明に覚えている。そしてその年のお盆、吉永さんが2度目のマドンナを演じた『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』以来、私は毎年かかさず寅さん映画を封切りで観ていた。なるべく満員の日を選び、前の方の席(又は通路での座り見)で、怒涛のような笑い声の中、あの独特の雰囲気と共に映画を楽しんでいた。
いつかは終わりがあると思ってはいたが、1995年暮れに封切られた『男はつらいよ 寅次郎紅の花』のラストシーン、阪神大震災で被災した神戸市長田区のパン屋で、ボランティアをしている寅さんの姿がリアルタイムでの最後となった。
寅さん映画をずっと観続けた醍醐味は、撮影されたその時代のリアルな風景や生活文化、出演している俳優の生身の歳のとり方が、観客と共に体感できる点にある。観ている側の人生と映画とがシンクロし、「寅さんが惚れてたあのマドンナの時は、自分はこんなだったなあ」と懐かしむ事ができるのだ。
「寅さんは私たちの心の中で生きてる」。山田洋次監督はファンの期待を裏切ることなく、「こんなだったら有りだよね」と見事な映画を作ってくれた。
お話の中心は、寅さんの甥・満男(吉岡秀隆)の今である。多くの寅さんファンは、満男が生まれた時から彼の成長をわが子の様に見守ってきたが、なんと小説家になっていた!それもシャイな性格は相変わらず。母のさくら(倍賞千恵子)も父の博(前田吟)も老けてはいるが元気である。
正直言ってこんなに泣ける寅さん映画は初めてだ。歳をとった寅さんファミリー達の「そういえば寅さんはこう言ってたなあ」との回想シーンが出てくるたび、当時は爆笑だったり感銘を受けたシーンが、今は懐かしくて泣けてくる。
映画の出来は良いので、寅さんファンはもちろん、寅さん映画を観たことがない人も、是非観てもらいたい一本である。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。