岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

よその国の話とは思えない親近感が湧いてくるご機嫌な映画

2020年02月24日

フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて

©︎FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

【出演】ダニエル・メイズ、ジェームズ・ピュアフォイ、デヴィッド・ヘイマン、デイヴ・ジョーンズ、サム・スウェインズベリー、タペンス・ミドルトン、ノエル・クラーク
【監督】クリス・フォギン

夢をもらえるのに加え、もうひとつ嬉しいのは…

私の地元の海辺の方は元々漁師町。今では漁業者はほんの数軒だが、お祭りになると本物の漁船に車輪を付けた神輿を引っ張りながら、先輩から受け継いだ「伊勢音頭」とか「松前節」という木遣り歌を歌いながら町中を練り歩く。私も厄年の時は船を引っ張った。三河湾の海の幸で育った私にとって、本作はよその国の話とは思えない親近感が湧いてくるご機嫌な映画だ。

本作はイギリス・コーンウォール地方の小さな港町で、風光明媚な観光地でもあるポート・アイザックが舞台。これも地元蒲郡の形原、西浦、三谷という港町に風光明媚な温泉地かあるのと同じだし、全国大会で何度も金賞を獲った蒲郡市吹奏楽団を有する「音楽のまち蒲郡」ということで、おじさん合唱団“フィッシャーマンズ・フレンズ”を有する港町と通じるものがある。私の叔父さんは漁師だったし、とにかく放っておけない映画なのだ。

この映画に出てくるおじさんたちは、毎夜第二の我が家たるパブに集まっては、こだわりのビールを飲み、たわいのない話で盛り上がる。海をナメている観光客の自業自得の遭難騒ぎにも、嫌な顔ひとつせず救助に向かう。そして、自分たちが好きで集まって“1752年のロックンロール”などを浜辺で歌う。

売れようなんてこれっぽっちも思ってなかったポート・アイザックの漁師たちが、その素朴なフォークソングに魅入られた音楽プロデューサーのダニー(ダニエル・メイズ)によって、ちょっとずつ世間に知られていく。彼らの媚びない姿勢は、女王陛下の誕生日を祝うラジオ番組の生放送で、国家でなく「コーンウォール賛歌」を歌ってしまうが、これが評判を呼び100万ポンドの契約を結ぶこととなる。誰も予想しなかったサクセスストーリーは、真実であるだけに夢をもらえるのだ。

もうひとつ嬉しいのは、歌詞の内容が郷土への誇りや愛着だけでなく、スケべなフレーズで溢れていることだ。気取ってない点がとってもいい。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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