岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

猫好きなら絶対楽しめるミュージカル

2020年02月26日

キャッツ

©2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.

【出演】ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン、フランチェスカ・ヘイワード
【監督】トム・フーパー

特別な一夜を猫たちとともに

 ミュージカル「キャッツ」は1981年5月、ロンドン、ウェストエンドのニューロンドン劇場で初演された。その後、ニューヨーク・ブロードウェイでも上演され、トニー賞では作品賞ほか7部門で受賞している。日本では劇団四季によって、83年に新宿副都心の空き地に建設された、仮設の専用劇場で初演された。当時、無謀と思われたロングラン公演を成功させ、日本演劇の興行形態の革命ともいえる公演となった。

 映画版『キャッツ』の完成には、映画化が決定してからかなりの時間を要した。紆余曲折があったと推測できるが、あえて実写という冒険に挑戦したことで期待は膨らんだ。全米公開後の酷評も聞き及んでいたが、それは杞憂へと変わった。

 ロンドンと東京公演では、周り舞台が採用されている。開演前は舞台の位置に客席があり、開幕とともに180°回転する演出だった。劇場の壁にも装飾がされ、空間全体が猫が集うゴミ捨て場という趣きだった。

 批判のひとつに話が分かり辛いというのがあるが、一気に猫の世界に観客を巻き込む導入は、強引ではある。しかし、登場猫たちの紹介は歌によって全て説明されるから、この指摘は当たらない。

 振付はラインや群舞が見せ場となっている。不気味な、と形容されたのは、CGによって加工された猫たちの毛や長い尾のことを言うのだろうか?確かに、ダンサーのボディラインには不自然さが見受けられるが、表情を含めたビジュアルは及第点と言えるのではないか?

 また、セットや小道具が猫対比では合わないサイズ、という指摘があるが、それはリアリズムではないのだからとしか言いようがない。

 パート毎に主役となる猫が登場する演出は舞台版に忠実。オペラからジャズまで、アンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲は深みがあり聞き応えがある。

 舞台版と違うのは、オールドデュトロノミー(長老)が女性になっていること。演じたのはジュディ・デンチ。彼女はロンドン初演の時、グリザベラ(娼婦)にキャスティングされていたが、直前の怪我、アキレス腱断裂で出演は叶わなかった。

 熱中の時代が甦り、いろんな想いとともに、久々に感動に酔えた。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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