岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

不思議なパワーに感化されて快進撃を果たしていく、ハートウォーミングスポーツコメディ

2020年02月02日

だれもが愛しいチャンピオン

©Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefonica Audiovisual Digital SLU, RTVE

【出演】ハビエル・グティエレス、フアン・マルガージョ、アテネア・マタ
【監督・共同脚本・編集】ハビエル・フェセル

それぞれ鉄板ネタを持っていて大いに笑わせてくれる

 2020年東京オリンピックがいよいよ半年後に迫ってきたが、続いて行われる障害者のスポーツ祭典パラリンピックも大いに楽しみである。ただ、知的障害者の場合は判定が難しく、2000年のシドニー大会でスペインバスケットボールチームの12人中10人が正常知能者だったという不正が行われた結果、2012年のロンドン大会まで知的障害者クラスの実施が見送られたという苦い経験がある。

 本作は社会奉仕活動を命じられたスペインプロバスケットボールチームのコーチであるマルコ(ハビエル・グティエレス)が、知的障害者のバスケットボールチームを指導し、彼らの不思議なパワーに感化されて快進撃を果たしていく、ハートウォーミングスポーツコメディである。

 この映画を観ている間中、私は大爆笑していた。それはオーディションで選ばれた“本物”の知的障害者たちが、自分の特性をあっけらかんと笑いに変えて生き生きと演じているからだ。憐れみや同情など一切不要、「これ笑えるでしょ」と自分の行動や言動をギャグにしている。

 最近、健常者の偽善と優越感のために、障害者を利用して感動を押し付ける行為を「感動ポルノ」と呼ぶらしいが、この映画にはそんなレッテルを貼られる要素は全くない。彼らの「ピュアで天然」な部分を「笑いもの」にしているのでなく、ちょっと愉快な行いを面白い個性として笑ってもらっているのだ。

 チームの中に1人いる超上級者が、実はシドニー大会の2人の知的障害者のうちの1人だったというオチも、最近の芸人みたいな自虐ネタで笑えるし、他のチームの面々も、何かとコーチとハグするが風呂が嫌いで匂いがきついなど、それぞれ鉄板ネタを持っていて大いに笑わせてくれる。

 こんな個性豊かなチームが適切な指導によってどんどん強くなっていく。カナリア諸島での決勝戦、最後の決着の付け方は実に気持ちよく、みんな笑顔でいっぱいになるのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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