岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品グレタ GRETA B! 落し物からはじまる驚愕のスリラー 2020年01月14日 グレタ GRETA ©Widow Movie, LLC and Showbox 2018. All Rights Reserved. 【出演】イザベル・ユペール、クロエ・グレース・モレッツ、マイカ・モンロー、コルム・フィオール、スティーヴン・レイ 【監督・脚本】ニール・ジョーダン バッグには罠がある。優しさには毒がある。 ニューヨークに住むフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は、高級レストランのウェイトレスをしている。最近母を亡くし、いまも心に空いた隙間を埋められずにいた。 ある仕事帰りの夜、地下鉄の車内で置き忘れたバッグを見つける。そのまま持ちかえり、中を検めたところ、持ち主はグレタという女性のものであることが判る。その住居に心あたりがあったからか?さほどの手間を感じなかったからか?フランシスはバッグを直接届けることにする。訪ねた先には、人あたりの良さそうな初老の女性グレタ(イザベル・ユペール)がいて、わざわざ届けてくれたことを感謝し、家に招き入れ、コーヒーを振る舞ってくれる。 この導入部分はかなり強引な印象を受ける。落し物を何故そのまま持ち帰ったのか?何故、直接家にまで届ける手段を選んだのか? グレタは夫を亡くし、ひとり娘はパリに留学中で、独居生活をしていると身の上を語るが、そこに喪失の寂しさを感じたフランシスは、自らの境遇と重ね親近感を覚える。そして、再会の約束をすることになる。 スリラー映画の常套である、少しの疑問と平穏な描写、その影に散らつく不穏な雰囲気をたたえたここまでの序盤は上手い。 そして、何度目かの訪問の時、クローゼットの中に並んだあのバッグの存在を知ることでストーリーは一気に加速する。 グレタを演じたイザベル・ユペールは優しげな包容力と、孤独の陰を内包させ、次第に増殖する妖しさを怪演している。フランシスを演じたクロエ・グレース・モレッツは幼なさと大人の女性の狭間にある微妙な感情の揺らぎを、ユペールの受けにまわりながらも好演している。 監督はベテランのニール・ジョーダンで、室内シーンの怪しげな重厚感、夜の街の空虚な空間がグレタの存在によって一変、圧迫感を誘導する自在で巧妙な演出が上手い。残念なのは、終盤の展開を急ぎ過ぎたことで、唐突なばたつき感がなんとも惜しい。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (8)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月06日 / 幸せのイタリアーノ 嘘からはじまるロマンチックコメディ 2024年09月06日 / 愛に乱暴 真面目に生きてきた女性が壊れる 2024年09月06日 / 愛に乱暴 人間の我慢の限界を描き、本質に迫った映画 more 2024年03月25日 / チネ・ラヴィータ(宮城県) 地元の人たちから愛されてきた駅前ミニシアター。 2020年12月23日 / 早稲田松竹映画劇場(東京都) 学生街に今も残る昔ながらの二本立て名画座 2021年02月24日 / シネマリオーネ古川(宮城県) この街に映画館を…という住民の声で復活した more
バッグには罠がある。優しさには毒がある。
ニューヨークに住むフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は、高級レストランのウェイトレスをしている。最近母を亡くし、いまも心に空いた隙間を埋められずにいた。
ある仕事帰りの夜、地下鉄の車内で置き忘れたバッグを見つける。そのまま持ちかえり、中を検めたところ、持ち主はグレタという女性のものであることが判る。その住居に心あたりがあったからか?さほどの手間を感じなかったからか?フランシスはバッグを直接届けることにする。訪ねた先には、人あたりの良さそうな初老の女性グレタ(イザベル・ユペール)がいて、わざわざ届けてくれたことを感謝し、家に招き入れ、コーヒーを振る舞ってくれる。
この導入部分はかなり強引な印象を受ける。落し物を何故そのまま持ち帰ったのか?何故、直接家にまで届ける手段を選んだのか?
グレタは夫を亡くし、ひとり娘はパリに留学中で、独居生活をしていると身の上を語るが、そこに喪失の寂しさを感じたフランシスは、自らの境遇と重ね親近感を覚える。そして、再会の約束をすることになる。
スリラー映画の常套である、少しの疑問と平穏な描写、その影に散らつく不穏な雰囲気をたたえたここまでの序盤は上手い。
そして、何度目かの訪問の時、クローゼットの中に並んだあのバッグの存在を知ることでストーリーは一気に加速する。
グレタを演じたイザベル・ユペールは優しげな包容力と、孤独の陰を内包させ、次第に増殖する妖しさを怪演している。フランシスを演じたクロエ・グレース・モレッツは幼なさと大人の女性の狭間にある微妙な感情の揺らぎを、ユペールの受けにまわりながらも好演している。
監督はベテランのニール・ジョーダンで、室内シーンの怪しげな重厚感、夜の街の空虚な空間がグレタの存在によって一変、圧迫感を誘導する自在で巧妙な演出が上手い。残念なのは、終盤の展開を急ぎ過ぎたことで、唐突なばたつき感がなんとも惜しい。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。