岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール B! ハンディや困難に負けそうになりながらも、世界を魅了するまでを描いた音楽映画 2019年12月14日 アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール ©2017 Picomedia SRL. 【出演】トビー・セバスチャン、アントニオ・バンデラス 【監督】マイケル・ラドフォード 「沈黙」による静けさこそが音楽を豊かにしていく 世界的に有名な盲目のテノール歌手アンドレア・ボチェッリ(61)。本作は彼の半生をモチーフにした伝記物語で、視覚障害というハンディを背負い幾多の困難に負けそうになりながらも、持って生まれた天性の歌声によって世界中の人を魅了するまでを描いた音楽映画である。 数多くの盲目の音楽家がそうであったように、ボチェッリ(トビー・セバスチャン)もまた幼少期から理解ある両親の下、音楽に接するようになる。視覚を奪われているので楽譜が読めない彼は、必然的に研ぎ澄まされた聴覚のみに頼る事になる。 声変わりによる挫折、心無い教師や辛辣な批評家の意見などで、一旦は音楽を諦めて法律家を目指すが、ピアノバーで生演奏のアルバイトをしながら音楽から離れられない生活をしている。 そんな中の映画前半、いつものようにピアノバーの喧騒の中でピアノを弾いていると、酔っぱらった客からロックをやれと言われる。うっ憤の溜まっていた彼は、オーナーの制止もものかは、ヴェルディのオペラ「椿姫」の中の「乾杯の歌」を高らかに歌い始める。拍手喝采の観客!胸が高鳴り心躍るシーンである。 彼が本格的に世に出るのは40歳チョイ前だが、彼の才能に魅了された人たちが、常にサポートの側にいる。いつも味方してくれて心無い批評家には酒をぶっかけてくれるジョヴァンニ叔父さん(エンニオ・ファンタスティキーニ)。嫌だった寄宿盲学校で才能を見出してくれた先生。歌声に感動してマエストロに繋いでくれたピアノの調律師。 その声楽の先生マエストロ(アントニオ・バンデラス)は言う。歌声に一番大事なことは「沈黙」であると。視覚障害ゆえに耳を澄ませて聴く。この静けさこそが音楽を豊かにしていくのだ。 映画の中の歌声は、ボチェッリ本人がやっている。伸びやかで声量のある堂々とした歌声で、映画館の優れた音響の中でこそよりよく感じられる。映画館で観るべき作品である。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (9)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2021年09月22日 / 【思い出の映画館】浅草中映劇場/浅草名画座(東京都) 下町の名画座で、あんぱん片手に映画観賞した日々 2024年08月28日 / サツゲキ(北海道) 市民から愛された劇場が4つのミニシアターで復活。 2024年01月10日 / アップリンク吉祥寺(東京都) ファッションビルの地下にあるミニシアターの映画街。 more
「沈黙」による静けさこそが音楽を豊かにしていく
世界的に有名な盲目のテノール歌手アンドレア・ボチェッリ(61)。本作は彼の半生をモチーフにした伝記物語で、視覚障害というハンディを背負い幾多の困難に負けそうになりながらも、持って生まれた天性の歌声によって世界中の人を魅了するまでを描いた音楽映画である。
数多くの盲目の音楽家がそうであったように、ボチェッリ(トビー・セバスチャン)もまた幼少期から理解ある両親の下、音楽に接するようになる。視覚を奪われているので楽譜が読めない彼は、必然的に研ぎ澄まされた聴覚のみに頼る事になる。
声変わりによる挫折、心無い教師や辛辣な批評家の意見などで、一旦は音楽を諦めて法律家を目指すが、ピアノバーで生演奏のアルバイトをしながら音楽から離れられない生活をしている。
そんな中の映画前半、いつものようにピアノバーの喧騒の中でピアノを弾いていると、酔っぱらった客からロックをやれと言われる。うっ憤の溜まっていた彼は、オーナーの制止もものかは、ヴェルディのオペラ「椿姫」の中の「乾杯の歌」を高らかに歌い始める。拍手喝采の観客!胸が高鳴り心躍るシーンである。
彼が本格的に世に出るのは40歳チョイ前だが、彼の才能に魅了された人たちが、常にサポートの側にいる。いつも味方してくれて心無い批評家には酒をぶっかけてくれるジョヴァンニ叔父さん(エンニオ・ファンタスティキーニ)。嫌だった寄宿盲学校で才能を見出してくれた先生。歌声に感動してマエストロに繋いでくれたピアノの調律師。
その声楽の先生マエストロ(アントニオ・バンデラス)は言う。歌声に一番大事なことは「沈黙」であると。視覚障害ゆえに耳を澄ませて聴く。この静けさこそが音楽を豊かにしていくのだ。
映画の中の歌声は、ボチェッリ本人がやっている。伸びやかで声量のある堂々とした歌声で、映画館の優れた音響の中でこそよりよく感じられる。映画館で観るべき作品である。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。