岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ B! リアルな時代を切り取った青春映画の快作 2019年11月22日 エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ © 2018 A24 DISTRIBUTION, LLC 【出演】エルシー・フィッシャー、ジョシュ・ハミルトン、エミリー・ロビンソン、ジェイク・ライアン 【脚本・監督】ボー・バーナム まわりのことばかり気にしても仕方ない、決めるのは自分だよ タイトルの"エイス・グレード"は8年生のことで、日本では中学2年生だが、アメリカではミドルスクールの最終学年にあたる。 ケイラ(エルシー・フィッシャー)はミドルスクール最後の1週間を迎えようとしていた。学校生活では友だちもできず、その打開策としてYouTuberとして投稿を始めたが、その動画にはウォッチャーもフォロアーも現れない。学校では「最も物静かな中学生」に選出されてしまう。家では男手ひとつでケイラを育てている父のマーク(ジョシュ・ハミルトン)が、年ごろの女の子の取り扱いに苦慮して格闘しているが、どれも空回りで娘との距離は縮まらない。 そんな時、ケイトはクラスメートのケネディにプールパーティーに誘われる。 副題にも使われている"クール”は、本来は冷たいとか涼しいという意味だったが、それがカッコいいとか爽やかという意味に変わったのはアメリカ英語のスラングの影響で、その起源は1950年代とも言われている。スラングは通常は流行り廃りがあり、その多くは消滅死語化するのだが、クールは定着して今や普通に形容詞として使われている。日本では最近になって、というイメージだが…ケイトはそのクールを目指している。 友だちとは言い難いケネディの誘いには、親の命令という圧力があったが、ケイトはそれを承知の上でパーティーに参加する。ニキビが浮いた童顔に、ぽっちゃりとした幼児体形でビキニの水着を着てプールサイドに立つ。そこにはある種の決意が伺える。 思春期の区切りの時、身体的にも精神的にも不安定にさらされる。そこにはどうしょうもない、経済的な格差や家庭環境が嫌が上にも立ちはだかる。ケイトはこの後、ハイスクールの1日体験入学で、年上の高校生に接することで新たな世界を体感したり、「焦ることなんてない」とアドバイスを受けたりするのだが…。 他人の目を気にするな!自分らしさを見つけることがgood =グッチ-!だ、と言うボー・バーナム監督の視線が実に優しい快作となった。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 89% 観たい! (8)検討する (1) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年04月12日 / コヴェナント/約束の救出 手に汗握るヒューマン・サスペンスの秀作 2024年04月12日 / コヴェナント/約束の救出 二つの救出劇が紡ぐ戦火の友情 2024年04月12日 / コヴェナント/約束の救出 危険を顧みない友情とスリリングな逃亡劇の戦争娯楽映画 more 2019年04月24日 / 高知あたご劇場(高知県) 高知市内に創業当時の姿で映画の火を灯す 2021年10月13日 / 【思い出の映画館】千日前セントラル(大阪府) 戦後の活気ある商店街でアメリカ映画を送り続けた。 2018年01月31日 / 横浜シネマリン(神奈川県) 伊勢佐木あたりで、一本の映画とコーヒーと… more
まわりのことばかり気にしても仕方ない、決めるのは自分だよ
タイトルの"エイス・グレード"は8年生のことで、日本では中学2年生だが、アメリカではミドルスクールの最終学年にあたる。
ケイラ(エルシー・フィッシャー)はミドルスクール最後の1週間を迎えようとしていた。学校生活では友だちもできず、その打開策としてYouTuberとして投稿を始めたが、その動画にはウォッチャーもフォロアーも現れない。学校では「最も物静かな中学生」に選出されてしまう。家では男手ひとつでケイラを育てている父のマーク(ジョシュ・ハミルトン)が、年ごろの女の子の取り扱いに苦慮して格闘しているが、どれも空回りで娘との距離は縮まらない。
そんな時、ケイトはクラスメートのケネディにプールパーティーに誘われる。
副題にも使われている"クール”は、本来は冷たいとか涼しいという意味だったが、それがカッコいいとか爽やかという意味に変わったのはアメリカ英語のスラングの影響で、その起源は1950年代とも言われている。スラングは通常は流行り廃りがあり、その多くは消滅死語化するのだが、クールは定着して今や普通に形容詞として使われている。日本では最近になって、というイメージだが…ケイトはそのクールを目指している。
友だちとは言い難いケネディの誘いには、親の命令という圧力があったが、ケイトはそれを承知の上でパーティーに参加する。ニキビが浮いた童顔に、ぽっちゃりとした幼児体形でビキニの水着を着てプールサイドに立つ。そこにはある種の決意が伺える。
思春期の区切りの時、身体的にも精神的にも不安定にさらされる。そこにはどうしょうもない、経済的な格差や家庭環境が嫌が上にも立ちはだかる。ケイトはこの後、ハイスクールの1日体験入学で、年上の高校生に接することで新たな世界を体感したり、「焦ることなんてない」とアドバイスを受けたりするのだが…。
他人の目を気にするな!自分らしさを見つけることがgood =グッチ-!だ、と言うボー・バーナム監督の視線が実に優しい快作となった。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。