岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

衝撃の実話!妖しく危ない犯罪映画

2019年10月22日

永遠に僕のもの

©2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO

【出演】ロレンソ・フェロ、チノ・ダリン、ダニエル・ファネゴ、セシリア・ロス
【監督】ルイス・オルテガ

彼の瞳を見つめてはいけない、彼の唇に触れてはいけない

 17歳のカルリートス(ロレンソ・フェロ)は、ブロンドの巻き毛、艶やかな唇、潤んだ瞳で、見た目はどこか中性的な雰囲気を醸し出している。一方、欲しいと思ったものは手当たり次第、手段を選ぶことなく手に入れてしまう粗暴さがある。そんな息子を危ぶむ両親はやんわりと忠告はするのだが、平然と嘘をつき、行いを改めるわけでもなく、何を考えているのか分からない危うさの中にいた。

 そんな時、転校先でラモン(チノ・ダリン)に出会う。彼に同じ匂いを嗅ぎとったカルリートスは接近を図り、ふたりは不思議な化学反応で意気投合する。ラモンの父親は凄腕の窃盗犯で、すぐに仲間入りするのだが、ここでも自由奔放なカルリートスは窃盗計画から逸脱暴走する。そんな彼にラモンの父親は危機感を覚え、息子に行動を注視するように忠告するが…その懸念はすぐに的中して、カルリートスは盗みに入った屋敷の住人を射殺してしまう。

 この映画は1971年にアルゼンチンで12人以上を殺害したとされる、連続強盗殺人犯の少年をモデルにしている。ニュース報道でその姿をさらされた少年が驚くほどに美形だったことから、犯罪者はたちまち偶像視されたという、いささか危ない話なのだが…。

 映画のカルリートスにも妖しげなオーラが漂う。ラモンに対しても色仕掛けの接近をする。ラモンはテレビ出演をしたいがために、プロデューサーらしき男と性的な一線を越える。それをきっかけに、ふたりの関係に微妙な揺らぎが見え始める。

 衒いもなく、迷うこともなく、いとも簡単に人を殺す。窃盗で得た金品をクローゼットに仕舞い込み、コレクション化する。その行為に罪悪感はない。映像はスタイリッシュで、「朝日のあたる家」の切ない旋律がそれを強調する。演出は事象を提示する連続だが、それは惨たらしいはずの場面を和らげる効果となり得ている。彼を"天使”と形容することには些か…いや、かなりの抵抗を感じるが、それは反覆の比喩だろう。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (7)
  • 検討する (0)

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

ページトップへ戻る