岐阜新聞 映画部

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「不屈の精神」の解明にさらににじり寄った、より深くより力強い作品

2019年10月22日

米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯

© TBSテレビ

【語り】山根基世、役所広司
【監督】佐古忠彦
【音楽】坂本龍一

佐古監督の真摯な映画作りは、ジャーナリズムの見本

 沖縄返還前の1971年12月、衆院特別委員会でカメジローは、拳を握りしめ断固とした声で佐藤首相に質問する。「この協定は、沖縄県民が26年間血の叫びで要求した返還協定ではない。この沖縄の大地は、再び戦場となることを拒否する!基地となることを拒否する!」。

 前作から2年、二番煎じになるどころか、人間カメジローの「不屈の精神」の解明にさらににじり寄った、より深くより力強い作品になっていた。

 カメジローは沖縄人民党の委員長で反権力、平たく言えば左の代表であるが、そんなイデオロギーの枠を超えて、ひとたび演説会を行えば何万人もの人々が話を聞きに来る。米軍からの執拗な嫌がらせや弾圧にも屈せず、踏まれても抜かれても雑草のように立ち上がってくる姿は、沖映館の社長など資本家からも支持される。カメジローのこのような闘いが、「オール沖縄」という保革一帯の組織に繋がっていったのは間違いない。

 カメジローは名言が多い。佐古忠彦監督は、それらを効果的に使っていく。映画の冒頭の「沖縄には三本の道しかない。一つは犯罪者となって刑務所に行く道、もう一つは自殺する道、そして最後は闘う道」。そして、その闘いは「ゆっくりと、だが断固として」。

 不屈の精神を象徴する言葉「大地にしっかりと根をおろしたガジュマルは、どんな嵐にさらされてもびくともしない」。違いを認め合いつつ、ひとつの方向に向かって連帯していく言葉「小異を捨てないで大同につく」。

 いま権力側にいる政治家の発言は、その場しのぎの言い逃れ、質問には答えず相手の批判を繰り返す、確たる証拠があっても平気で白を切るなど、無責任で薄っぺらく軽い。この映画を観ていると、言葉の重みの違いが浮き彫りになってくる。

 カメジローは憎しみで闘っているのではない。怒りで闘っているのだ。佐古監督の忖度のひとかけらもない真摯な映画作りは、ジャーナリズムの見本である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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