岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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クリムトやエゴン・シーレに共通するテーマが生まれた背景を解き明かしていく美術探訪映画

2019年09月07日

クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代

© Belvedere, Wien

【出演】ロレンツォ・リケルミー、リリー・コール、エリック・カンデル、ルドルフ・ブッフビンダー、ジェーン・カリア
【監督】ミシェル・マリー

クリムト展、観てから見るか?見てから観るか?

 世紀末とは辞書では「懐疑・絶望・享楽などの風潮が現れたヨーロッパ、特にフランスの19世紀の終り。(新明解国語辞典)」とされる。当時、ハプスブルク家が統治するオーストリア=ハンガリー帝国の首都でヨーロッパ有数の都市であったウィーンでは、フロイトが精神分析を創始し、時を同じくして美術・建築・音楽・演劇・文学などの分野で、近代に繋がっていく文化形態や現象が勃興してきた。

 本作は世紀末から20世紀初頭にかけて活躍し、今でも私たちを魅了し続ける画家、クリムトとエゴン・シーレを中心に、彼らに共通するテーマ「生と死」や「エロス」が生まれていった背景を、多彩なコメンテーター達が解き明かしていく美術探訪映画である。

 クリムトは当時の保守的な画壇の中にあって、時にポルノグラフィとまで呼ばれた退廃的で官能的な絵画を発表していき、一部で激しい批判を受けながらも成功を収めていった。彼の画風は、ジャポニズムの影響も見られる金色を多く使用した華やかな色彩で、幸福感に満ちた女性を煌びやかに装飾的に妖艶に描いていく。映画は、サロン文化の中で様々な知識人と出会い、次第にその革新的な画風が認められていく理由を、コメンテーター達が紐解いていく。

 クリムトの弟子のエゴン・シーレは、師匠の陽の画風とは異なり、死の予感、恐れや不安を前面に出した陰鬱な画風である。エロスさは師匠を上回り過激さは増している。また、自画像が多いのも特徴だ。

 映画も世紀末に発明され総合芸術といわれるが、本作はその特性を最大限に活かして、クリムトやエゴン・シーレの魅惑的な絵画を、同じく世紀末に出来上がったウィンナ・ワルツの調べにのせて、簡潔に分かりやすいナレーションで、観客をウィーン黄金時代に誘ってくれる。

 現在、豊田市美術館で「クリムト展 ウィーンと日本 1900」を開催している。観てから見るか、見てから観るか、さあどっち?

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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