岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品初恋 お父さん、チビがいなくなりました B! 3大スターが共演する、昭和テイストの香りが嬉しいほのぼの熟年映画 2019年06月28日 初恋 お父さん、チビがいなくなりました ©2019西炯子・小学館/「お父さん、チビがいなくなりました」製作委員会 【出演】倍賞千恵子、藤竜也、市川実日子 ほか 【監督】小林聖太郎 ちょっぴり危機になった夫婦の姿を正攻法で描いていく 「男はつらいよ」シリーズでさくらを演じた倍賞千恵子(77歳)、「若大将」シリーズで澄子を演じた星由里子(享年74歳)。共にマドンナとして昭和の青年の胸をときめかせた2人がココロ寄せるのは、『愛のコリーダ』の藤竜也(77歳)! とってもいい年の取り方をされた3大スターが共演する本作は、昭和テイストの香りが嬉しい、往年の松竹映画を彷彿とさせるほのぼの熟年映画である。 きっと結婚式で「結婚生活には大事な三つの袋がある」なんてスピーチされたであろう武井夫妻。ダンディだが無口でカッコつけたがりの勝(藤竜也)は、絵に描いたような亭主関白だ。今時こんな奴いるかよと思っていたら、案の定、離婚を切り出される羽目になる。対して、妻の有喜子(倍賞千恵子)は良妻賢母、夫の三歩後ろを黙ってついていく人生だったと察するが、黒猫チビがいなくなったことをキッカケに、ついに堪忍袋の緒が切れてしまった。切れたとはいっても、さくらさんがそのまま年をとったような人柄なので激しくはありませんが。 物語には熟年映画ファンに向けてのツボがいっぱい溢れている。特に二人が知り合った駅のミルクスタンドのシーンは、風景もファッションも深い昭和のど真ん中。客が「アンパンとシロ」、すると有喜子が牛乳ビンを先端が針になった紙蓋取りでポンと開けて、あんぱんと一緒に手際よく渡す。小津映画のようでもあり、モノクロ画面も相まって青いレモンの味がしてくる。 家族が全員揃った時は、もちろんすき焼きだ。一家の主人のお父さんが厳かに取り仕切って、ありがたく頂く。これぞ昭和の食卓なのである。 小林聖太郎監督は、ちょっぴり危機になった夫婦の姿を、奇をてらうことなく正攻法で描いていく。倍賞、藤、星の安定した会話のやりとりも、この映画に安心感をもたらしている。 定年退職し、子育てが終わった後も長く続く夫婦生活。この映画を観て反省することしきりである。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (7)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2022年07月05日 / FLEE フリー 真実を語るためのアニメーションドキュメンタリー 2022年07月05日 / FLEE フリー 自らの過酷な体験と不合理を世に知らしめた映画 2022年07月04日 / 帰らない日曜日 特別な1日を振り返る秘密の恋の物語 more 2020年01月22日 / キネカ大森(東京都) ミニシアターから名画座まで…いくつもの顔を持つ街の映画館 2022年04月27日 / 天文館シネマパラダイス(鹿児島県) かつての映画街の熱気を再び…商店街が立ち上がった。 2022年01月12日 / 静岡シネ・ギャラリー(静岡県) 静岡駅の近く…由緒あるお寺が運営する映画館 more
ちょっぴり危機になった夫婦の姿を正攻法で描いていく
「男はつらいよ」シリーズでさくらを演じた倍賞千恵子(77歳)、「若大将」シリーズで澄子を演じた星由里子(享年74歳)。共にマドンナとして昭和の青年の胸をときめかせた2人がココロ寄せるのは、『愛のコリーダ』の藤竜也(77歳)!
とってもいい年の取り方をされた3大スターが共演する本作は、昭和テイストの香りが嬉しい、往年の松竹映画を彷彿とさせるほのぼの熟年映画である。
きっと結婚式で「結婚生活には大事な三つの袋がある」なんてスピーチされたであろう武井夫妻。ダンディだが無口でカッコつけたがりの勝(藤竜也)は、絵に描いたような亭主関白だ。今時こんな奴いるかよと思っていたら、案の定、離婚を切り出される羽目になる。対して、妻の有喜子(倍賞千恵子)は良妻賢母、夫の三歩後ろを黙ってついていく人生だったと察するが、黒猫チビがいなくなったことをキッカケに、ついに堪忍袋の緒が切れてしまった。切れたとはいっても、さくらさんがそのまま年をとったような人柄なので激しくはありませんが。
物語には熟年映画ファンに向けてのツボがいっぱい溢れている。特に二人が知り合った駅のミルクスタンドのシーンは、風景もファッションも深い昭和のど真ん中。客が「アンパンとシロ」、すると有喜子が牛乳ビンを先端が針になった紙蓋取りでポンと開けて、あんぱんと一緒に手際よく渡す。小津映画のようでもあり、モノクロ画面も相まって青いレモンの味がしてくる。
家族が全員揃った時は、もちろんすき焼きだ。一家の主人のお父さんが厳かに取り仕切って、ありがたく頂く。これぞ昭和の食卓なのである。
小林聖太郎監督は、ちょっぴり危機になった夫婦の姿を、奇をてらうことなく正攻法で描いていく。倍賞、藤、星の安定した会話のやりとりも、この映画に安心感をもたらしている。
定年退職し、子育てが終わった後も長く続く夫婦生活。この映画を観て反省することしきりである。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。