岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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今を生きる若者に観てもらいたい青春映画

2019年06月14日

僕たちは希望という名の列車に乗った

©Studiocanal GmbH Julia Terjung

【出演】レオナルド・シャイヒャー、トム・グラメンツ、ヨナス・ダスラ―、ロナルト・ツェアフェルト、ブルクハルト・クラウスナー
【監督・脚本】ラース・クラウメ

「若者よ、易きに流れるな、信念を大切にしろ」と監督は言っている。

 1949年に建国された東ドイツは、東欧社会主義国家の雄として着実に歩み始めていたが、一方で、スターリン死後の1953年にはソ連の支配に対する「6月17日蜂起」と呼ばれる抗議行動も起こっていた。

 本作は、冷戦体制が本格化していく1956年に発生した民衆蜂起「ハンガリー動乱」の死者に対して、2分間の黙祷を行った高校生たちの、尊厳をかけたグループディスカッション的青春映画である。

 今でこそ「ハンガリー動乱」はソ連の介入に抵抗する「国民革命」と言われているが、当時は西側の左翼的知識人層でも「反革命」として認識する人が多くいた。

 そんな背景の中、権力や権威に対する若者らしい反発として、また半分は勢いで「黙祷」をする。しかし、基本的に反対派を認めない東ドイツ政府は、高校生であれど徹底的に首謀者の追及をしていく。

 尋問は生徒を個別に呼び出し、証言の意図的な捏造により仲違いを起こさせたり、家族の弱みにつけこんだりする陰湿で執拗極まる方法で精神的に追い込んでいく。最終的には仲間を売ってエリートの階段を登るか、退学して労働者になるかを迫られる。

 映画は3人の生徒にフォーカスする事で、東ドイツ人の複雑な過去を浮き彫りにする。テオの父は、1953年蜂起に関与して労働者階級となり面従腹背の人生を送っている。クルトの父は市会議員だが、母の父はナチス党員で夫から蔑まれている。エリックが尊敬する社会主義者だった亡き父は、実はナチスに協力して処刑されていた。この3人の行動が、当時に生きた若者達の叫び声として描かれていく。

 ラース・クラウメ監督は、東ドイツの愚かさをただ描いているわけではない。重要なのは声をあげること、そして自分で考えて決断することなのだ。若者よ、易きに流れるな、信念を大切にしろと言っている。

 時代が不寛容な社会に向かっている今だからこそ、今を生きる若者に観てもらいたい青春映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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